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【石平のChina Watch】習政権の「集団的無責任体制」

中国の習近平国家主席。米中対立が深刻化しているが、直接の言及はしばらくないままだ =5月28日、北京(AP)
中国の習近平国家主席。米中対立が深刻化しているが、直接の言及はしばらくないままだ =5月28日、北京(AP)

 米中貿易協議が事実上決裂して約1カ月がたった。

 その間、アメリカ政府は2000億ドル分の中国製品に対する制裁関税の引き上げを断行した以外に、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)に対する厳しい制裁措置の発動にも踏み切って、中国との貿易戦争を「技術戦争」の領域にまで広げた。

 それに対し、中国政府は米国製品に対する一定の報復関税を発動する一方、国内の官製メディアを動員して、すさまじい対米批判キャンペーンを始めた。人民日報や新華社通信は連日のように米国の「横暴」や「背信」を厳しく糾弾する論評や記事を掲載し、テレビ局は朝鮮戦争を題材とする古い映画を再放送して、「抗米」の気勢をあげた。

 米中間の貿易戦争と政治的対立はますます熾烈(しれつ)化する様相を呈しているが、その中で一見、不思議なのは、中国の最高指導者である習近平国家主席の態度である。米中貿易協議の決裂から始まったこの嵐の中で習主席は、この問題について一言も発せず、完全なる沈黙を保っているのだ。

 習主席が米中貿易協議に最後に言及したのは2月15日、北京訪問中の米国側交渉団と会談したときであった。会談の中で彼は、「重要な段階的進展を遂げた」と協議結果を評価したうえで、「トランプ大統領と良好な関係を築き、さまざまな方法で連絡を取り合いたい」と述べ、米中首脳会談に意欲を示した。

 つまり習主席は、協議がうまく「進展」しているときには顔を出して自らの指導力をアピールするのだが、一旦協議が決裂して対立が深まると、ただだんまりを決め込み、人ごとであるかのように「傍観」するのである。

 現在進行中の貿易戦争は中国経済と国民生活に多大な打撃を与えていくはずだ。そしてファーウェイに対する封じ込めは、この国策会社にとっての生死問題ともなるであろう。にもかかわらず、米中協議を潰した張本人であったはずの習主席が、公の場で国民に対して事情と情勢を説明したことは一度もなければ、被害を受けている民間企業や当事者のファーウェイを激励したこともない。

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