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【日曜に書く】「政民」隔てる最低賃金の溝 論説委員・井伊重之

経済財政諮問会議であいさつする安倍首相=14日午後、首相官邸
経済財政諮問会議であいさつする安倍首相=14日午後、首相官邸

 最低賃金をめぐる攻防が激しさを増している。参院選を控えて、アベノミクスの恩恵を地方に波及させたい政府・自民党から5%の引き上げや全国一律化を求める声が噴出し、早期に時給千円の達成を求める動きが広がっている。これに対し、日本商工会議所などの中小企業団体は、経営に深刻な影響を与えるとして大幅な引き上げに反対し、緊急声明を発表する事態に発展している。

 ここ数年、人手不足を背景にパートやアルバイトの時給は大きく上昇している。とくに都市部では最低賃金を上回って高止まりしており、それに追い付いていない地方との格差が拡大している。東京都の昨年の最低賃金は985円で、最も低い鹿児島県の761円と大きな差がついた。762円も青森や岩手、沖縄などの11県に上った。

 ◆「露骨な選挙対策」

 これを受けて自民党では、最低賃金を都道府県ごとに決める現行方式を改め、全国一律に変えるように求める議連が動きを活発化させている。自民党は3年前の参院選で、最低賃金が低い県を中心に苦戦を強いられたからだ。それだけに、大幅引き上げは格好の選挙対策と映るようだ。

 だが、最低賃金法に基づく最低賃金は強制力を伴い、違反した経営者には罰金などが科せられる。政治主導で無理な引き上げを進めれば、それに対応できない経営者は雇用の削減に走る恐れもある。引き上げを促すためには、遠回りでも官民で生産性を高める取り組みを進める必要がある。

 最低賃金は毎年夏に厚生労働省の審議会で目安額が示され、それをもとに都道府県の審議会で地域の物価などを勘案して決定される仕組みだ。学識経験者や労使代表らが議論するが、政府は3年前から「3%程度」とする引き上げ目標を掲げて実現させてきた。

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