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【大阪特派員】消え行く妖怪、観光資源に 山上直子

奈良妖怪新聞(恵守乾撮影)
奈良妖怪新聞(恵守乾撮影)

 「ここが転ぶとネコになるといわれる猫段です。猫坂と呼ばれていたこともあったそうです」

 東大寺の大仏殿から二月堂に向かう急な石段。坂とも階段とも見えるが、ここで転ぶとネコになるという言い伝えがあるという。奈良はよく取材をするというのに、全く知らなかった。もっともそう呼ばれるようになったのは近代になってからで由来はよく分からないそうだ。妖怪の仕業?

 最近、妖怪がブームだ。奈良の妖怪文化研究家、木下昌美さんを訪ねた。ちょっとミステリアスな美人である。奈良は古い町だからと切り出すと…。

 「いえ、特に奈良だからというわけではないと思います。妖怪ってどこにでもいるものですから」。のっけから思い込みがはずれた。どこにでも妖怪伝承はあるらしい。「妖怪やお化けは人がいないと出られない。人がいるからこそ、生まれたものだと思います」

 県内に残る妖怪の伝承や記録を調べて平成28年から毎月、電子新聞「奈良妖怪新聞」を発行している。冒頭の「猫坂」は今月号のテーマだ。総集編を紙の冊子として出版。4月に第3巻を刊行したが、各巻とも目次を見るだけでもおもしろい。

 鬼や天狗(てんぐ)、河童(かっぱ)などの有名どころから、一本足で皿のような目という「一本だたら」、人に空腹をもたらして命を奪う「ヒダル神」、人を驚かすことだけが目的で現れる「高坊主(たかぼうず)」。いかにも妖怪然とした名前だが、いずれも人間とのかかわりがなければ存在し得なかったものだろう。

 「例えば一本だたらは山で暮らす人々に伝わる妖怪。『果ての二十日』と呼ばれる12月20日に遭遇するので外に出てはいけないといいます」。十津川村や上北山村など県境の村に伝承が残り、冬の山は危険だという戒めにも聞こえる。

 「今でも地元の人たちはその日を気にします。わざわざ語り継いでいるのも、必要だから残ったといえるでしょうね」

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