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【一筆多論】中国「台湾統一」の行程表 河崎真澄

「一帯一路」をテーマにした国際会議の夕食会で乾杯する中国の習近平国家主席=4月26日、北京の人民大会堂(共同)
「一帯一路」をテーマにした国際会議の夕食会で乾杯する中国の習近平国家主席=4月26日、北京の人民大会堂(共同)

 「中国の習近平指導部は2049年までの『台湾統一』実現に向け、すでにロードマップ(行程表)を描いている」。台湾総統府の直属学術機関、中央研究院の前副研究員、林泉忠氏はこう指摘した。共産党が1949年に北京で成立させた「中華人民共和国」の建国100周年が年限だ。

 林氏はロードマップの基本に「香港返還のプロセスがある」と考えている。

 82年に当時の英首相、サッチャーが訪中して始まった香港返還交渉で、最高実力者だったトウ小平が“切り札”にしたのが、「一国二制度」の提案だった。

 共産党が支配する一つの中国の主権の下に、地域を限定して高度な自治を認め、社会主義とは異なる民主社会を返還後50年間、併存させるという歴史的にほとんど例のない政策だ。

 「一国二制度」は、共産党が香港を試験台とし、将来の「台湾統一」への応用を狙って編み出した。言論の自由や資本主義の維持で譲歩する一方、主権掌握という難解な政治問題で勝利する。

 実際、習近平国家主席は今年1月2日の北京での演説で、「一国二制度による平和統一」を台湾に強く迫った。同時に武力行使もチラつかせ、威圧した。

 林氏は中国が香港で行った3つの工作を挙げる。(1)中国への経済依存を高めさせ、(2)報道機関への言論コントロールを強める。そして(3)政界で親中派を多数派にする。共産党政権に「ノー」と言えない状況を、時間をかけて浸透させた。

 台湾ではすでに経済や報道機関への中国の影響力が強まっている。台湾独立を党綱領に掲げる民主進歩党が政権与党の現在、政界工作こそが残された課題だ。

 中英交渉の結果、97年7月、正式に香港の主権が返還された。英国のような存在がない台湾とは、当局間交渉が必要だ。それでも「建国100周年の統一を念頭にいつまでに何を行うか、中国は香港返還の経験を生かして行程表を設定している」と林氏は考える。

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