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【世界のかたち、日本のかたち】ポスト「冷戦後」の時代 大阪大教授・坂元一哉 

ポスト冷戦後の時代の日米関係は(ロイター)
ポスト冷戦後の時代の日米関係は(ロイター)

 令和の御代(みよ)が恙(つつが)なく始まったことを、心から喜びたい。

 前回のこのコラム(2月25日付)でも書いたが、令和の日本は、昭和、平成と続いた「戦後」に一応の区切りがつき、ポスト「戦後」の時代が始まっているとの認識、そしてトランプ大統領による米国政治外交政策の大転換で、世界がポスト「冷戦後」の時代に入っているとの認識、この2つの時代認識に基づく外交が必要になるだろう。むろん基軸は日米同盟であり、天皇陛下が最初にお会いになる国賓が米国大統領であることにも象徴される米国との緊密な関係は、新時代の日本外交にとっても心強い資産である。

 ただ、始まったばかりの令和の日本外交は、その米国と中国との経済「戦争」への対応で、いきなり真価を問われる事態になっている。

 トランプ大統領は、巨額の対中貿易赤字と中国の不公正な貿易慣行の是正を中国に要求し、昨年7月からは、中国からの一部輸入品の関税を大幅に引き上げるなどの制裁措置を課してそれを迫ってきた。だが中国側も対抗関税で反撃し、米中の交渉は難航している。業を煮やした大統領は今月、中国からのほぼすべての輸入品の関税を引き上げる準備に入った。中国もこれに対抗するだろうから、もはや米中は経済「摩擦」を通り越して、経済「戦争」の状態になっているといってよい。

 日本はどう対応すべきか。米中の貿易収支は基本的に2国間の問題だから見守るしかない。だが中国の不公正な貿易慣行の是正は、まさに日本の国益でもあり、米国支持の立場を鮮明にすべきである。すでに日本は昨年9月の日米共同声明において、「中国」と名指しこそしなかったものの、「第三国」による知的財産の収奪、強制的技術移転、国有企業に対する産業補助金などへの対処で米国と協力することを約束している。

 日中関係は、改善の傾向が明らかだが、そうであればなおさら、さらなる改善のためにも、この問題での中国政府の努力を促すべきだろう。安倍晋三首相は、昨年10月の訪中時、日中関係発展のための3原則の1つに「自由で公正」な貿易関係をあげている。

 中国が「自由で公正」な貿易のために従来の慣行を改めるとなれば、かなりの構造改革が必要になろう。日本が何かいえば、強い反発があるかもしれない。だがこのままでは、中国は米国だけでなく、日本との関係でも明るい未来を描くことができない。反発されても未来志向でいうべきことはいう、という態度で臨むべきである。

 来月、大阪で開かれるG20サミットに合わせて、米中首脳会談が開かれるという。中国の大胆な譲歩による「戦争」終結を期待したい。だがいずれにせよ当面は、世界経済に大きな下振れリスクがあるだろう。G20の議長国でもある日本は、そのリスク回避のため、できることは何でもやるとの姿勢をとらねばなるまい。消費増税実施をどうするかも、その点を踏まえて判断する必要がある。 (さかもと かずや)

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