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【主張】組長の損賠責任 暴力団は生きていけない

 特殊詐欺で暴力団のトップに暴力団対策法上の使用者責任を適用する全国初の判断が示された。組員が関与した特殊詐欺の損害賠償責任を代表者個人が負うもので、被害者救済への道を開くとともに、暴力団は今後、立ちゆかなくなることが予想される。

 それでも、暴力団の看板にしがみつくか。それともこの際、解散の道を選ぶか。暴力団は岐路に立っている。

 指定暴力団住吉会系の組員らによる特殊詐欺の被害にあった女性らが住吉会の会長、前会長に損害賠償を求めた訴訟の判決で、水戸地裁は23日、会長らは暴対法上の使用者責任を負うと判断し、605万円の支払いを命じた。

 暴対法は指定暴力団の組員が暴力団の威力を利用して資金を獲得した際は代表者が賠償責任を負うと定めている。組員らは被害者をだました際には暴力団員を誇示していないが、「受け子」などのグループを集める際に「住吉会の威力」を利用したと認定した。

 民法上の使用者責任は指示命令系統の立証に高いハードルがあるが、暴対法上は、代表者が上納金システムで利益を享受する立場にあり配下の「威力利用資金獲得行為」に関する損賠責任を負う。

 「威力」は被害者に直接利用しなくても共犯者を集める際に利用していれば適用できるという判断だ。この論法なら特殊詐欺に指定暴力団組員の関与が明らかになった際、多くの事件でトップの使用者責任を問うことが可能だ。

 24日には東京地裁で同様の訴訟の判決があり、代表者の使用者責任は認められなかった。だがこの訴訟では詐欺の中心的役割を果たした男と暴力団の関係が不明であるなど、やや様相を異にした。

 警察庁によると、平成30年に特殊詐欺で摘発された2686人のうち、625人が暴力団構成員や周辺者だった。特殊詐欺は被害者の多くが老人などの弱者であり、そこには任侠(にんきょう)も何もない。

 弱きをくじく犯罪被害の損賠責任を代表者が負う。もはや、暴力団が存在する意味もうま味もあるまい。暴力団の側には存在を否定すれば反社会勢力は地に潜り、外国マフィアの横行を招くという言い分もあるようだ。

 だがこれらを防ぐのは国の責務であり、暴力団の力に頼るものではない。暴力団は、このまま生きてゆくことはできまい。

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