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【日曜に書く】本を読むと美しくなる 論説委員・山上直子

 それはまさに奇跡のような1通のメールだった。

 4月から大阪夕刊1面で、読者の本にまつわるエッセーを募集し掲載する「ビブリオエッセー」が始まっている。当初はいったいどのくらいの応募が来るか、全く予想がつかなかった。事前に紙面で募集を始めたものの、1日、2日と音沙汰のない日が過ぎていた。

 胃がキリキリと痛みはじめたころ、編集局に舞い込んだのが「ジュディの言葉を胸に」というタイトルの、18歳の女性からのメールだった。

◆100年経てもなお

 〈『おじさん、私ね、今を生きてるの。』ジュディはあしながおじさんへの手紙にこう書いた〉で始まる、瑞々(みずみず)しい感性のエッセーだった。取り上げた本は「あしながおじさん」(ジーン・ウェブスター著)。100年以上も前にアメリカの女流作家が書いた不朽の名作だ。

 投稿してくれた女性は、小学生の時に読み、その後も繰り返し読み、今を生きる大切さを知ったという。将来を考えなければならない年齢になったが、改めて主人公の言葉を胸に「今」を生きて行く、と綴(つづ)っていた。

 本は人を作り、知らない世界への扉となる、そんな実例がまさしくそこにあった。

 心がほのぼのと温かくなるような、83歳の女性からの手紙もあった。丁寧に手書きされた文章の書き出しはこうだ。

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