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【記者発】ブレークダンスと自己実現 運動部・宝田将志

都市型スポーツの国際大会「FISE」のブレークダンス男子決勝で対戦する、優勝した半井重幸(右)=4月21日、広島市
都市型スポーツの国際大会「FISE」のブレークダンス男子決勝で対戦する、優勝した半井重幸(右)=4月21日、広島市

 スポーツ報道に携わっていると、最近は「東京五輪」という単語に触れない日がない。開幕を14カ月後に控え、各競技の代表選手選考も、これから本格化していく。

 どうしても視線は2020年にばかり向きがちだが、それ以降のこと、「スポーツの未来」への関心は常に持っておきたいと思っている。この点において先日、非常に考えさせられる機会があった。

 ブレークダンスをご存じだろうか? ブレイキンとも呼ばれ、DJが流す音楽に乗って1対1で踊り、採点形式で争う競技だ。24年パリ五輪の追加種目候補にも入っている。都市型スポーツを集めた国際大会「FISE(エクストリーム・スポーツ国際フェスティバル)」の会見でのこと。ブレークダンスで昨年のユース五輪銅メダルに輝いた半井(なからい)重幸(大阪学芸高)が、こんなことを言っていた。

 「自分は誰かに『こうしたらいい』と答えを渡されたら逃げたくなってしまう。『好きなようにやりな』といわれた方が活発になる。ブレイキンは答えがなくて自分次第。したいことをしていい」

 私自身はダンスなど全くできないが、このモチベーションの感覚はよく分かる。

 かつて半井はトランポリンを7年ほどやっていたそうだ。トランポリン自体には魅力を感じていたものの、練習メニューをコーチに言い渡される形が性に合わず、姉の影響もあってブレークダンスに転向したのだという。

 日本アーバンスポーツ支援協議会会長の渡辺守成・国際体操連盟会長は「トラディショナル(伝統的)スポーツは無理やりやらされるだけだから嫌だと、今の子供たちは思っている。昔の精神論がもう成り立たない」と指摘する。ブレークダンスやスケートボード、自転車のBMXなどに没頭する若者たちはコーチに指導を仰ぐのではなく、自らインターネットの動画サイトなどの映像を見て、他選手の身のこなしを研究し、他競技の動きから、ひらめきを得ようとしている者が多い。

 一方、伝統的なスポーツの現場においても、指導か、パワーハラスメントかの線引きは昭和の頃とは明らかに異なってきている。令和の時代に、より問われてくるのは選手の「自主性」と「自己実現」なのかもしれない。

【プロフィル】宝田将志

 平成13年入社。21年から運動部。ソチ五輪、リオデジャネイロ五輪を現地取材。著書に『四継 2016リオ五輪、彼らの真実』(文芸春秋)。

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