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【主張】スルガ銀の不正 再建への道筋なお見えぬ

 投資用不動産向けの不正融資で経営再建中のスルガ銀行が同融資に関わる調査結果を公表し、1兆円を超える不正の実態を明らかにした。

 対象の6割で書類改竄(かいざん)などの不正がはびこっていた。組織を覆う広がりに言葉を失う。顧客からの信用が何よりも求められる銀行にあるまじき悪質な行為であり、企業としての体をなしていなかったことが改めてはっきりした。

 同行は併せて新生銀行と家電量販店のノジマとの業務提携を発表したが、財務基盤などを強化する道筋はみえない。今後の多難な経営を暗示する再始動である。

 ただでさえ、顧客の減少や低金利による収益力の低下で地域金融機関の経営環境は厳しい。失墜した信用を取り戻して確実に収益を挙げるには、かなりの時間を要しよう。組織を根本から解体するほどの覚悟がなければ、生き残れないことを肝に銘じてほしい。

 融資実績を挙げるため、借り手の預金通帳や物件契約書を改竄したほか、融資時に用意すべき自己資金を不動産業者が立て替える不適切行為などが横行していた。不正の指示や黙認など、関与が認定された行員は75人にのぼる。

 背景にあるのは、岡野光喜前会長らの創業家支配のもと極端な営業至上主義に走った、いびつな企業風土である。膿(うみ)を出し切ることが再建の前提だ。元本カットを求める顧客への対応にも真摯(しんし)に取り組む必要がある。

 投資用不動産融資に関する金融庁の業務停止処分は解けたが、もはや、そこに過度に依存した従来の事業モデルはあり得まい。これに代わる新たな収益基盤をいかに築けるかである。

 同行では不正発覚後、預金が流出する顧客離れも進んだ。経営基盤を強化するため、出資を伴う他社との資本提携も模索したが、新生銀とノジマとは業務提携にとどまった。一方で、約13%のスルガ銀株を保有する創業家が株式売却に応じないという。これでどこまで再建が図れるのか。

 高収益のスルガ銀を「地銀の優等生」と持ち上げた金融庁の責任も指摘したい。実態は不正による収益にすぎなかったのに、これを見抜けぬどころか礼賛し、暴走を煽(あお)った面がある。その責任を明確にできなければ、地域金融機関に収益改善を促す金融庁の行政は決して信頼を得られないはずだ。

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