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【直球&曲球】津波、稲むらの火… 中江有里「歴史を伝えることが命を守る」

女優で脚本家・作家の中江有里さん
女優で脚本家・作家の中江有里さん

 もし○○だったら、△△があれば…。歴史に「もし」「タラレバ」はないが、この人がいなかったらどうなっていただろうと思う人はいる。

 その一人がヤマサ醤油(しょうゆ)の7代目、濱口梧陵(はまぐち・ごりょう)。1854年(安政元年)、梧陵の地元である和歌山県有田郡広村(現広川町)で地震が起きた。地震の後に津波が来ることを知っていた梧陵は、村人に避難を呼びかけた。その際、収穫して保存していた稲のわらに火をつけて、暗がりで避難できなかった村人を救った、という話がある。

 英国出身の作家、小泉八雲が「ア・リビング・ゴッド」に梧陵の功績を記し、海外にも広がった。この話を地元の教員が日本語でわかりやすく著した「稲むらの火」という物語は、戦中・戦後の国定国語教科書に採用されたという。

 この話を知って、3つのことを思った。まず梧陵の防災意識の高さ。そして村人を助けるために稲わらに火をつける献身。稲わらはこれから草履など商品になるものだから、いうなればお金に火をつけたようなもの。そして3つめは「稲むらの火」という物語にまとまったことで、地震の後に津波が来る可能性を多くの人が知る機会になった。

 歴史を伝えることが、人の命を守る。梧陵の偉業はこれにとどまらない。

 昨年末、梧陵の地元を訪ねて、記念館や銅像なども回った。中でも驚いたのは、梧陵の造った堤防の立派さだ。この堤防は、地震と津波で家や仕事を失った村人を救うために梧陵が私財を投じて村人が築堤したという。今でいうなら公共工事を自前でやってしまったようなものだろう。

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