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【スポーツ茶論】人種偏見と闘った男、T・ウッズ 黒沢潤

 16歳のころには、コーチの計らいでコースを無料で利用してきたことをクラブ側から突然、問題視された。コーチは「タイガーは突如、クラブから敵視されていると直感し心を痛めた」と述懐する。

 ウッズは18歳で全米アマチュア選手権に優勝。クラブに電話して、トロフィーを飾るか聞いたところ、冷たくあしらわれた。コーチは言う。「『(クラブから)返答もなかった』とタイガーは語った。彼の目や態度を見る限り、腹でも殴られたかのようだった」。ウッズはスタンフォード大進学後、このコースに二度と足を運ぶことはなかった。

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 ウッズは1996年、世界的に有名となり、ナイキのCMに出演する。ただ、世界は彼の次の言葉の意味を十分にはのみ込めなかったはずだ。

 「米国には私がプレーすることが許されないコースがある。私の『肌の色』のためだ。あなたは私を受け入れる準備ができているか?」。意外なこの言葉は、今回のコーチの証言で完全に裏付けられた。

 実はウッズのパット練習をめぐり、コーチは驚くべき証言もしている。「彼の練習は1日連続8時間にも及んだ」。スコアの肝ともいえ、一発で強敵を沈めうるパットの練習に黙々と励む-。白人社会から常に「冷たい刃」を黒い肌にあてられ、心に深く傷を負いながらもいつか見返そうと寡黙に牙を研ぐ姿は、鬼気迫るものだったに違いない。

 今月6日、ウッズはホワイトハウスの美しい庭で、トランプ大統領から復活をたたえられ「大統領自由勲章」を贈られた。スピーチで、幼少のころゴルフを教わった亡き父に言及し、同席した母に目をやると、これまでにない感極まった表情を見せた。スランプ絶頂の日々、人種偏見に苦しめられた少年時代…。彼の心に、さまざまな情景が去来したゆえだろう。

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