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【耳目の門】(8)石井聡 続・平成と民主主義 無投票で地方自治を担えるか

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 統一地方選の前半戦のさなか、最寄り駅の駅頭に顔見知りの県会議員の姿を見つけた。朝の通勤客に次々と頭を下げるふうでもない。むしろ、余裕ありげにたたずんでいるように見えた。

 初心を忘れると痛い目をみるぞ-などと思ったら、こちらの早とちりだった。選挙区の「定数2」に対して候補者が2人しか立たず、早々と無投票当選を決めていたのだった。

 首都圏の政令市にある選挙区で、有権者数は十数万に上る。同じ市内で無投票区がもう一つあった。地方議員のなり手不足の深刻さを目の当たりにした。

 「選ばれていない」人物が当選する。果たして正しいことなのか。これだけ無投票が広がると、疑問は確信に変わりつつある。

 無投票当選の弊害については、「地域の有権者が投票の機会を奪われる」と指摘されることが多い。それはきれい事にすぎる。

 有権者は自ら担い手となることも含め、地域から「なり手」を出し、地方自治を実現する権利と責任を負っている。そこに目をつむれば「民主主義の学校」とも呼ばれる地方自治は危うさを増すだろう。

◆洗礼受けず当選

 4月に法事で鹿児島に帰省した折、カツオのまち、枕崎市では市議選の立候補者が定数ぴったりの14人にとどまり、無投票となった。直前まで「定数割れ」の可能性があった。引退予定だった人物が、届け出締め切りの2時間前に翻意して回避され、みんなが安堵(あんど)した-という話だった。それでは困るのだ。

 統一地方選の後半戦で市議選294のうち11が無投票となった。前半戦の道府県議選では、無投票当選が4人に1人に上った。

 千葉県成田市議選で、選挙は行われたのに、法定得票数に達しない落選者が出たため「定数割れ」が生じる珍事が起きた。つまり、選挙が行われなければ法定得票数という「ふるい」にはかからない。資質を問われることなく当選する。

 明治憲法には地方自治に関する条文はなく、現行憲法で「章」を設けて重く位置づけられた。地方自治の組織や運営に関して「地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める」(憲法92条)と書かれている。この点は抽象的にすぎるとの指摘も少なくない。

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