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【主張】令和の外交 隣人の独善改めさせよ インド太平洋構想の具現化を

 御代替わりとともに、日本の真価を問われる外交の季節がやってくる。

 ワシントンでの日米首脳会談を終えた安倍晋三首相は今月、トランプ大統領を国賓として迎える。6月には20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)がある。中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領も来日する予定だ。

 日米の貿易不均衡問題、日露の北方領土交渉など2国間の課題は山積する。一方の日中関係は「正常化」がとみに喧伝(けんでん)される。

 日本はまず、世界秩序の破壊を狙い東南アジアや欧州に侵食する中国の対外姿勢に毅然(きぜん)とした姿勢を示さねばならぬ。それが議長国としての責務だ。

 ≪米と対中で足並み揃え≫

 平成の時代はくしくも、東西冷戦が終結し、ポスト冷戦期が終焉(しゅうえん)するまでの30年間と重なる。米中「新冷戦」の時代に進むに前後し令和が始まった。世界の地殻変動とともに、日本も歴史の変わり目を迎えてきたのである。その間の日本の外交はどうであったか。

 「日本は変化する世界に対応するだけでなく、自らの行動が世界に与える影響を考えつつ対応しなければならない」。政治学者の高坂正堯氏が晩年の著作「日本存亡のとき」で警告した通り、目の前の変化や相手の態度をうかがい小手先の対応に引きずられたといえる。

 1989年6月の天安門事件以後、西側は経済制裁に動いた。孤立した中国の求めに応じ、いち早く支援の手をさしのべ、経済協力を再開させたのは日本だった。

 当時の天皇陛下は事件3年後の92年に中国を訪問された。中国がこのご訪中を欧米の制裁緩和につなげるよう政治利用したことが判明している。陛下を政治的に利用することは決して許されない。

 中国は苦境を脱し、世界貿易機関(WTO)加盟を認められるなど国際社会に招き入れられた。

 米一極の時代は2001年の米中枢同時テロと08年のリーマン・ショックを契機に崩れた。

 対テロ戦と世界的な金融危機で疲弊した米国は唯一の超大国の地位から転落し、関与策の恩恵で急成長を遂げた中国は日本を抜き世界第2の経済大国となった。

 習氏が国家主席に就任すると独善的な対外路線にカジを切り、軍備拡張と巨大経済圏構想「一帯一路」による中国中心の世界秩序確立を推し進めていった。

 こうした中国に、トランプ米政権が昨秋のペンス副大統領演説を口火に、対決姿勢を本格化させたのは言うまでもない。中国は今、「一帯一路」や第5世代(5G)の通信技術を武器に、欧州の分断を図っている。

 米欧は一枚岩とはいえず、日本が米国と足並みを揃(そろ)えることが、不可欠なのだ。

 ≪日本の存在感問われる≫

 ところが、昨年以降の米中対立に伴い、習政権は日本との関係修復に動き出した。狙いは緊密な日米関係に亀裂を生じさせ、米国の対中圧力を緩めることにある。

 安倍首相の特使として先月訪中した自民党の二階俊博幹事長が習氏との会談後、「米国の顔色をうかがって日中の問題を考えていくものではない」と発言した。国営メディアには二階氏が「一帯一路を積極的に評価した」と伝えられる始末である。

 二階氏の言動は「一帯一路」に警戒が出てきた世界に誤ったメッセージを与えた。習氏側をつけあがらせ、「天安門後」の失敗の二の舞いとなる恐れもある。

 表面的ほほ笑み外交の傍らで、「海洋強国」路線を進める中国は尖閣諸島の周辺領海への公船の侵入を続け、シーレーン(海上交通路)が通過する南シナ海で人工島建設の軍事拠点化を続ける。

 日本人の不当な拘束もやめない。独善的な行動を改めさせることなく関係を「正常な軌道」に戻す。その日本の判断が、世界に与える影響を考えるべきである。

 急ぐべきは、強固な日米同盟を基盤に、自ら提唱した「自由で開かれたインド太平洋」構想を具現化させることにある。

 「インド太平洋」は、地域が共有する自由と民主主義の価値を中国の脅威から守り、米国をアジアにつなぎ留め、日本の領土領海をも守り抜く戦略である。

 日本は隣人がわが物顔で振る舞う東アジアの現状をただ受け入れてはならない。自ら時代の流れを変える外交力が求められる。

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