PR

ニュース コラム

【石平のChina Watch】「日本ブーム」が意味するもの

満開の桜をスマートフォンなどで撮影する中国人客ら=5日、大阪市中央区の大阪城公園
満開の桜をスマートフォンなどで撮影する中国人客ら=5日、大阪市中央区の大阪城公園

 平成最後のこの4月、隣の中国ではちょっとした「日本ブーム」が起きている。

 ことの始まりは新元号の発表である。1日の11時41分頃に「令和」が発表された直後、中国国営の新華社通信や、中国の代表的なポータルサイトの『新浪』『網易』、人民日報傘下の環球時報ウェブ版などはまるで日本のメディアと競合しているかのように速報を出した。そしてそれを受け、ネット上では日本の新元号に対するコメントが殺到し、このテーマひとつで中国のネット空間は大いに盛り上がった。

 それからほぼ1週間、新元号はホットな話題であり続けた。前述の環球時報はもちろんのこと、大都会の上海では発行部数が最も多い『新民晩報』や、全国紙の『文匯報』などが論評を掲載したり、専門家を招いて座談会を開いたりして、新元号の話題を盛り上げた。

 その中で、「中華文明から発祥した元号をそこまでに大切にし、現代生活に密着させている日本人の知恵には敬服の念を禁じ得ない」と絶賛する論評もあれば、「令和」の出典は元をたどれば中国古典にあることを殊更に強調し、「日本は中国の痕跡を消すことができない」というコメントもあった。

 ネット上では、中国の失われた伝統は日本に現存することに対する称賛と羨望の声が数多く聞こえる一方、中国語で「令」と「零」の発音が同じことから、「令和の意味はすなわち“平和の思いがゼロ”だ」と、こじつけて日本の新元号をおとしめるような書き込みも見られた。

 しかしいずれにしても、改元するのは日本であるのに、中国のメディアとネットがそれほど熱をあげて大騒ぎしている光景はまさしく不可思議である。背後にあるのは、中国自身の喪失した伝統を今でも生かしているこの日本に対する中国人たちの、羨望と嫉妬を交えた屈折した思いではないのかと思う。

 4月といえば日本では桜の季節である。実は数年前から、「日本で花見するブーム」が中国で起きている。

続きを読む

関連トピックス

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ