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【主張】中国の大使交代 冷めた日本の認識直視を

 中国政府が駐日大使交代の方針を固めた。日中関係が改善傾向にあるとの判断から、新大使の下で習近平国家主席の訪日準備を進める構えだ。

 新旧大使は、共に日本語に熟達した知日派だ。ならばかつて喧伝(けんでん)された「日中友好」という言葉が、わずか数年で日常の語彙から消えた日本の現実に説明は要るまい。

 安倍晋三首相は日中関係が「完全に正常な軌道」に戻ったと述べた。今月北京で開かれる日中ハイレベル経済対話には、安倍内閣の6閣僚が参加する熱心さだ。

 だが国民の認識は政財界の空気とは異なる。昨年10月の日中共同世論調査では中国に否定的な日本の回答が86%にも達した。新大使となる孔鉉佑(こう・げんゆう)外務次官には、まず冷めた日本の対中認識を直視してほしい。この認識を欠いては、どんな外交努力も実を結ぶまい。

 在任9年あまりで歴代最長となった現任の程永華大使は、日中関係が「史上最悪」に落ち込む状態を経験した。中国漁船の衝突事件や激しい反日デモなど、関係を悪化に追い込んだ事象は一つではない。だがこれらの背景には、沖縄県石垣市の尖閣諸島をめぐる中国の領土主張が直接、間接的にかかわってきた。

 中国は軍事力を背景に海洋進出を強める。尖閣諸島、あるいは東シナ海のガス田開発をめぐる中国の行動に対して、日本の世論は極めて敏感に反応するはずだ。

 中国の対日姿勢が高圧の度を増したのは、国内総生産(GDP)で日本を抜き、世界2位の経済大国となった時期と重なる。中国経済の減速が顕在化している今、不当な対応があれば、日本企業の中国離れは加速するだろう。

 スパイ行為への関与を問われた日本人9人の長期拘束も未解決である。査証(ビザ)発給を制限する報道への圧力も続いている。

 こうした問題を着実に解決することが、中国に対する日本の空気を変えることにつながる。問題の解決を棚上げして関係改善を語っても説得力はない。

 孔氏は、中国政府の朝鮮半島問題特別代表を兼務してきた。北朝鮮による日本人拉致問題は熟知しているはずだ。

 日本の悲願である拉致被害者の帰国に向け、孔氏には知恵を絞るよう望みたい。この問題で冷淡な態度を取るようでは知日派の名を返上すべきだろう。

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