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【主張】レスリング事故 選手守る保険制度創設を

 どんな競技でも、不測の事故はあり得る。

 選手強化の現場で起こった事故が深刻な結果を招かないよう、選手を守るのは競技団体や指導者の義務だ。

 負傷した選手が治療に専念できる環境も、本来は競技団体が整えなければならない。特に学生選手は、金銭面で不安定な立場に置かれている。

 競技団体が保険への加入を怠ったり、選手任せにしたりするのは論外である。

 日本レスリング協会が強化拠点の東京・味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)で行った平成29年9月の強化合宿で、当時学生王者だった22歳の男性が危険な技を受けて首から下が不随になる大けがをした。

 男性側は協会やけがを負わせた選手らを相手取り、慰謝料や医療費など総額約2億2600万円の損害賠償を求めて提訴した。

 男性側は、協会側が事故を防ぐためのコーチの適切な配置を怠ったなどと主張している。再発を防ぐためにも、司法の場で責任の所在を明確にしてほしい。

 問題は、日本協会がスポーツ団体保険に加入していなかったことだ。この事故の3カ月前には、日本バレー協会がNTCで行った強化合宿で、選手の太ももにはがれた床板が刺さり、大けがをする事故も起こっている。

 格闘競技の団体として、レスリング協会には危機感が欠けていなかったか。

 スポーツ界で相次いだ不祥事を反省し、各競技団体がガバナンス(組織統治)強化に取り組むのは重要だが、主役であるべき選手の安全が置き去りにされては本末転倒である。

 大学スポーツを一大産業に育てた全米大学体育協会(NCAA)を参考に、日本ではスポーツ庁の主導で、3月に「大学スポーツ協会」(UNIVAS=ユニバス)が発足した。ユニバスは、スポーツと学業の両立、安心・安全の確保、大学スポーツの収益化を事業の柱にしているが、優先順位を間違えないでほしい。

 学生選手が事故で負ったけがについて、保険でどこまでカバーするのか。保険料率をどう設定するのか。課題は多いが、選手を守る上でも保険制度の創設は焦眉の急だ。選手は常に危険と背中合わせでプレーしている。最優先すべきは選手の安全確保である。

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