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【主張】実刑被告の保釈 度を超す傾向を危惧する

 殺人罪で懲役11年の実刑判決を受け、控訴している被告について、東京地裁が保釈を認める決定を出した。東京地検の抗告を受けて東京高裁が地裁決定を取り消したのは当然の判断だろう。

 保釈請求を許可する割合(保釈率)は平成12年の13・5%から29年には32・7%と倍以上に増加している。会社法違反(特別背任)などの罪で起訴され、否認を続ける日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告の保釈も認められた。今回の地裁決定もこの流れに沿ったものなのだろう。

 だが、殺人罪で実刑判決を受けた被告に対する保釈決定は極めて異例である。高裁が取り消したとはいえ、治安への影響や逃走の恐れを無視するような地裁決定には大きな疑問がある。

 実際に、保釈中に被告が逃走したり、再犯に及んだりするケースは後を絶たない。29年に保釈中に再犯で起訴された被告は246人を数えた。

 中には、覚せい剤取締法違反罪に問われた暴力団員が保釈中に男性を射殺し、拳銃を所持したまま逃走しているとみられる最悪のケースもある。本来なら、保釈決定を出した裁判所が責任を問われなければならない。

 今回の被告は自宅で妻の首を圧迫して窒息死させたとされ、今月6日の東京地裁判決は「態様は危険で悪質だ」と指摘していた。

 被告は判決を不服として控訴しているが、保釈は社会の理解を得られまい。

 すでに実刑判決を受け、服役の可能性が高い被告に逃亡の恐れがないと、どう担保することができるのか。全く理解に苦しむ。

 ゴーン被告の保釈に際しては、長期の勾留や、いわゆる「人質司法」に対する海外からの批判も影響したとの見方があった。

 だがルノーが本社を置くフランスの刑事法では、捜査の必要があれば検察官が「予審」を請求し、予審判事の下で捜査が行われ裁判を開くかどうか決める。予審での勾留は原則1年以内で、重大事件の場合は最長4年8カ月の勾留が可能である。日本の勾留期間が長いとは必ずしもいえない。

 刑事司法の目的は捜査や公判を通じて事件の真相を明らかにし、適切な刑罰を科し、社会の安全や公平性を守ることにある。保釈に関する過剰な傾向は、これに反してはいないか。

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