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【ソロモンの頭巾】驚異の米国教科書 長辻象平

 細胞と遺伝を扱う第3部では遺伝子工学やクローンといった先端分野とともに、ダーウィンの進化論にも紙数を割いて、進化の速度に関する漸進説と断続平衡説まで紹介している。

 第5部の環境の科学では、生態系におけるエネルギーの流れを重視するほか、バイオームという生態系の区分も教えている。

 気候変動問題では二酸化炭素の温室効果を解説する一方で、コンピューターモデルによる将来の気候予測の確度については慎重な姿勢を示すなど、欧州や日本での考えとは異なる点もあって興味深い。

 ◆思考力を強化する構成

 日本語版監修者の西山さんは「生物分類学の必要性の説明ぶり、一つをとっても秀逸」と米国の教科書を絶賛し、「生物科学の全分野が網羅されていて、生物全体が有機的につながっているという学問の根本を理解できる内容になっています」と強調する。

 総監訳者の柴井さんは「大きな発見をした研究者がどのように考え、実験したかについてまで紹介されている」と感心しつつ、「日本の教科書では結論となる花の部分だけを示すのに対し、米国では花だけでなく、根の部分まで見せている」と語る。

 この教科書では各章で学ぶさまざまな現象などに対して、生徒自身が説明し得る仮説を自分なりに立て、それを検証する実験方法を考えることまでを求める構成なのだ。

 また、クラスメートとの議論や家族への知識の説明が勧められ、理解したことや考えたことを文章にまとめることも促される。

 生徒が興味深く読み進むうちに観察力が増し、思考力が鍛えられるようになっている。伸びゆく可能性を制限することがない教科書なのだ。

 ◆春風とともに反響届く

 これほど魅力に富んだ内容だが、大部でオールカラーである上に、専門書的な本なので、刊行に応じてくれる出版社を見つけるのに苦労した。西山さんと柴井さんが相当額を負担して3千部での出版だ。

 発売から2カ月。バイオ未来キッズのメンバーが無償で心血を注いだ『生物・生命科学大図鑑』は、横浜市内の私立校から約230冊の注文が舞い込むなど、春風とともに確かな手応えをつかみ始めている。

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