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【主張】キトラ壁画国宝へ 世界遺産登録のはずみに

 奈良県明日香村のキトラ古墳壁画(飛鳥時代)が国宝に指定される。

 国の文化審議会が答申した。昨年10月の重要文化財指定から異例のスピードだ。早ければ6月にも国宝へ格上げされる。国内で発見された古墳の極彩色壁画は、同村の高松塚古墳(昭和49年に国宝指定)とわずか2例のみである。

 古代絵画史を知る一級資料だけに迅速な決定を評価したい。地元自治体で進む世界遺産登録へのはずみにもなろう。

 キトラ古墳は7世紀末~8世紀初めの築造で、昭和58年に石室の壁に描かれた四神(しじん)図の一つ「玄武」が発見された。ファイバースコープを使った石室内部の調査は大きく報道され、“キトラフィーバー”を巻き起こした。

 その後、高松塚古墳では失われていた朱雀のほか青龍、白虎の四神図がそろい、十二支像や天井に描かれた東アジア最古の天文図も確認された。金と朱で星や星座を描いた天文図は貴重なものだ。

 近年の研究では、緯度を推定すると、古代中国の都が置かれた洛陽や長安での観測をもとに製作された天文図が輸入され、壁画に描かれた可能性があるという。

 一方で、壁面や天井の漆喰(しっくい)が劣化していたため、平成16年から壁画をはぎ取っての前例のない修復作業が進められてきた。伝統的な表具技術も取り入れて28年に終了し、その後は古墳に隣接する保存展示施設「キトラ古墳壁画体験館 四神の館」で年に4回公開されている。これまでに計約10万人が見学した。古墳壁画の石室外での保存および活用という新たな可能性を模索するものだろう。

 地元は喜びに包まれている。奈良県や同村など地元自治体が両壁画を含めた文化財を「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」として世界遺産登録を目指すからだ。平成19年には国の暫定リストに掲載された。

 同村では独自の「明日香まるごと博物館構想」も進めている。大陸との交流や日本の古代史研究に光を当てる壁画を国の宝とすることは、広く国内外にその価値を知らしめることになる。

 最近、考古学への関心が少し薄れていないだろうか。高松塚壁画の修復も来年3月末までに完了予定だ。国の成り立ちを知る古代史のロマンに触れる機会が増えるよう期待したい。

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