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【主張】児童虐待防止 法改正だけで命は救えぬ

 虐待をこれ以上放置することは許されないとして、児童福祉法と児童虐待防止法の改正案が国会に提出された。

 大きな柱は親権者による「体罰の禁止」と児童相談所の強化である。悲痛な事件が続く中、一人でも多くの子供を救う契機となってほしい。

 ただ、法律を改めるだけで虐待はなくならない。改正案には懸念もある。

 体罰の禁止を改正案に明記したのは、「しつけ」名目で虐待を繰り返す事案がやまないためだ。これにより児相が介入する際、親の反論をはねつける根拠となる。

 親権者に必要な範囲で子供への戒めを認める民法の「懲戒権」についても、改正法施行後2年をめどに削除するか検討する。

 ただし、家庭内の体罰については定義がない。その範囲を明示しなくては、「しつけの禁止」と疑われる可能性もある。過剰反応は排さなくてはならない。

 例えばわが子がいじめの加害者になっていることが分かったら、親には全力でこれを戒める責務があるはずだ。懲戒権の削除については、慎重な議論を要する。

 児相機能の強化では、「介入」と「支援」という相反する役割を担う職員、部署を分離することを求めた。これにより、ためらいなく子供の安全確保を優先できることを期待する。

 だが現状でも児相は施設、職員とも慢性的に不足している。介入と支援の分離という理想を追求するためには大幅な体制の拡充が必要だ。改正案がこれを促しても、予算が伴わなくてはただのお題目である。弁護士の児相常勤についても、同じことがいえる。

 昨年3月、東京都目黒区で5歳の女児が両親の虐待を受け、「もうおねがい ゆるしてください」と書かれた反省ノートを残して亡くなった。1月には千葉県野田市で10歳の女児が両親の虐待により亡くなった。女児は小学校のアンケートに「お父さんにぼう力を受けています」と訴えたが、教育委員会は父親の威圧に屈し、文面のコピーを渡していた。

 これらの事件を受けた法案の提出にあたり、安倍晋三首相は「子供たちの命を守るのは大人全員の責任。スピード感を持って強力に推進する」と述べた。

 法改正にとどまらず、同じ決意で、包括的で実効性のある施策につなげてほしい。

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