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【主張】サリン事件24年 風化させぬ努力続けよう

 13人が死亡、約6300人が負傷した地下鉄サリン事件は平成7年3月20日に発生した。あれから24年となる。

 昨年夏には、オウム真理教の元教祖、麻原彰晃元死刑囚ら13人の死刑が執行された。

 だが、事件はこれで終わったわけではない。今も後遺症に苦しむ被害者がおり、犠牲者遺族の心の傷が癒やされることはない。事件が社会に突きつけた問題も、何ら解決されていない。

 事件で夫を亡くした高橋シズヱさんは「事件を昨日のことのように覚えている。当事者に風化はない」と話している。

 ごく普通の、真面目そうな若者らが、なぜオウム真理教に魅せられ、凶悪犯罪を起こすに至ったのか。事件の教訓を社会全体が共有し、語り継ぐことが大切だ。

 茨城大学の学生らは20日、都内で「サリン事件から24年の日 オウム真理教事件とメディア」とのテーマでシンポジウムを行う。ほとんどの学生は事件当時、まだ生まれてさえいない。学生らは民主主義国家における宗教と報道のあり方というテーマに挑む。

 村上信夫教授の指導の下、宗教を隠れみのにした犯罪者集団に対する報道の力と限界について入念に聞き取り調査を重ねてきた。平成の初期を象徴する大事件が世に問いかけた問題の根は深く、事件を風化させないという意味でも学生らの取り組みは意義深い。

 事件の若者らの多くは高学歴だが人間関係に疲れ、精神世界に癒やしを求めて神秘体験をうたうオウムに集まった。

 教祖や幹部信者らはテレビへの生出演を繰り返し、新聞の取材を受けた。彼らの言い分を垂れ流すことが報道といえたか。メディアもまた、カルト集団との距離感が問われた。

 地下鉄サリン事件は都心で化学兵器が使用された世界初の無差別テロとして世界を震撼(しんかん)させた。だが教団の解散を目指した破壊活動防止法の適用申請は棄却され、団体規制法も解散命令すら出せないでいる。一部は教祖への帰依を強めているとされる今なお、それは同様である。

 ニュージーランドでは白人至上主義の狂信的な若者が銃を乱射した。若者は絶えず、カルトや洗脳の危険にさらされている。オウムの教訓を胸に刻み、再犯防止の糧としなくてはならない。

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