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【主張】春闘回答 中小企業の賃上げ着実に

 大手企業の春闘回答が示され、基本給を一律で引き上げるベースアップ(ベア)を実施する企業が相次いだ。ただ、その上げ幅をめぐっては多くの電機や自動車で昨年実績を下回り、力強さに欠ける結果となった。

 米中貿易摩擦が激化し世界経済の先行き不透明感が強まる中で、輸出産業を中心に経営側は賃上げに慎重姿勢だった。政権が産業界に賃上げを促す「官製春闘」は大きな曲がり角を迎えた。

 今回の春闘は働き方改革への対応も焦点となった。非正規社員の処遇改善などが図られたのは成果だが、多様な働き方の整備に向けて今後も労使で建設的な話し合いを続けてもらいたい。

 春闘交渉は政府の強い後押しもあり、ベアと定期昇給などを合わせた賃上げ率は、昨年まで5年連続で2%台の水準で推移してきた。だが、今年は自動車総連がベアの統一目標を見送り、月例賃金の目標額を掲げるなど、労使の交渉姿勢にも変化が表れた。

 実際の妥結水準をみても、今年は前年実績を割り込む大手企業が相次いだ。経営側はベアだけでなく、賞与や手当を含めた年収ベースでの交渉を求めた。業績悪化への危機感が強まり、労組側も賃上げに加え、働く環境の改善を求める傾向が強まったからだ。

 春闘相場の牽引(けんいん)役を長く務めてきたトヨタ自動車は、ベアを公表せず、一時金(賞与)も夏分の回答にとどめた。冬分は改めて協議する異例の「分割回答」である。各社の業績格差が鮮明になる中で、業界横並びの交渉方式は再考すべきだろう。

 しかし、トヨタを含めて輸出企業の利益水準は総じて高い。上場企業の手元資金も100兆円を超えて過去最高だ。世界経済に対する過度な悲観が景気に悪影響を与える事態は避けたい。

 一方、中小企業で働く人は雇用者全体の7割を占める。大手企業に続いて今後、本格化する中小企業における春闘交渉は、地方の景気にも影響を与える。日本経済の底上げのため、中小企業でも着実な賃上げを図りたい。

 そのためには中小企業が一定の賃上げ原資をきちんと確保することが不可欠である。政府は大手と中小の取引状況を監視し、「下請けいじめ」を徹底的に排除するとともに、不当な取引慣行も是正すべきだ。

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