PR

ニュース コラム

【宮家邦彦のWorld Watch】インド太平洋は戦略空間か

 (2)人民解放軍は準備不足

 米海軍との衝突後、中国チームは展開する全艦船を自国に帰投させた。マラッカ海峡以西の軍事作戦は成功しないと判断したからだ。確かに中国は南シナ海で着々と軍事拠点を増強中だが、現時点でインド洋での中国海軍の本格的軍事作戦は難しいと判断したようだ。これが実態に近いとすれば、中国がインド洋を戦略的空間として活用し始めるには今しばらく時間がかかるのかもしれない。

 (3)日米豪印間協力も不十分

 一方、こうした状況は日米豪印側も同様である。少なくとも今回のシミュレーションでは、これら4カ国を含む関係国の間で、インド洋における共通の戦略認識や戦闘能力が欠けているように思えた。今後は中国の能力が向上する前に、これらインド太平洋諸国の認識と能力の向上が不可欠となるだろう。

 (4)仮想演習の有用性

 最後に宣伝を少々。今回筆者は政策シミュレーションのコントローラー役を辞し、初めて演習を客観的に見ることができた。そこで改めて思うのは、政治家・役人から経営者・報道関係者まで、さまざまな異なる経験を有する論客たちが、一昼夜同一空間で真剣に議論を戦わせることにより、従来とは異なる知的融合が生まれる可能性だ。手前みそながら、筆者の知る限り、この種の知的空間は少ないのではないか。読者の中でこんな政策シミュレーションにご関心があれば、ぜひ一度参加されてはいかがだろうか。

                   

【プロフィル】宮家邦彦

 みやけ・くにひこ 昭和28(1953)年、神奈川県出身。栄光学園高、東京大学法学部卒。53年外務省入省。中東1課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを歴任し、平成17年退官。第1次安倍内閣では首相公邸連絡調整官を務めた。現在、立命館大学客員教授、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。

関連トピックス

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ