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【スポーツ茶論】キング牧師の「夢」いまだ実現せず 黒沢潤

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マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の像の周りで追悼集会を行う人たち=1月21日、米ワシントン(ロイター)
マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の像の周りで追悼集会を行う人たち=1月21日、米ワシントン(ロイター)

 美しいメキシコ湾に面する米南部アラバマ州モービルの巨大ショッピングモール。湾岸戦争の契機となるイラクのクウェート侵攻で米社会が揺れた1990年夏、地元の買い物客からジーッと“奇異の目”で見られたことがある。米南部の黒人差別の実態を描写した映画「ミシシッピー・バーニング」を見て、差別の土壌を知りたいと飛び込んだ留学先の地とはいえ、肌の色の違いだけで好奇の視線を浴びるのは心地良くなかった。

 同じ学生寮に住み、浅黒い肌を持つインド人の留学生は、白人学生から「黒っぽい砂色の“ニガー”(黒人の蔑称)」と呼ばれ、心をひどく傷つけられた。彼が間もなく、退寮を自ら申し出たのはいうまでもない。

 これらは30年前という「ひと世代前の出来事」と思うなかれ。米社会の有色人種の社会的地位は今、黒人指導者キング牧師の努力で50年前から格段に向上したとはいえ、差別は社会の隅々に色濃く残っている。

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 米国ではここ数年、丸腰の黒人少年が白人警官に射殺されるなど、露骨な人種差別が次々と発覚している。これを受け、米プロフットボールNFLのサンフランシスコ・フォーティーナイナーズ(49ers)のQBキャパニック選手が2016年、差別に抗議の意思を示そうと国歌斉唱時に片膝をついたところ、NFL界から事実上追放されてしまい、黒人の間から批判が噴出する事態となっている。

 そうした中、NFL側は先月3日、南部アトランタで行ったスーパーボウルの試合前セレモニーで、キング牧師のビデオ映像を流す異例の演出を行った。人種差別を座視しないとの姿勢を示した形だが、選手への処遇は変わらず、“火に油”を注いでいる。

 ネット上では、NFL側の放映について「キング牧師を利用するとは何たる厚顔無恥」「偽善的だ」など、怨嗟(えんさ)の声が激しく渦巻いている。

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