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【北京春秋】笑顔が消えた独裁者

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2月26日、ベトナム北部ドンダンで、車窓から外をうかがう北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(藤本欣也撮影)
2月26日、ベトナム北部ドンダンで、車窓から外をうかがう北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(藤本欣也撮影)

 「ミスター キム・ジョンウン!」。ベトナム人の若者が大声を上げた。中国国境に近いベトナム・ドンダン駅前。2月26日朝、100人を超す世界のメディア関係者とベトナムの市民が待ち構える中、特別列車から北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が降り立ったのだ。

 笑顔で車に乗り込む金氏とは50~60メートルの距離だろうか。「金正日(ジョンイル)時代にはあり得なかったことだ…」。隔世の感がした。

 ベトナム当局は駅正面に規制線を設けたぐらいで、身分証のチェックも荷物検査もなく、誰でも北朝鮮の指導者の顔を拝めるところまで近づけたのだ。

 初めての経験だったからか、ベトナム側は至れり尽くせりのサービスだった。徹夜で陣取る報道陣のために、日が暮れると弁当を差し入れ、雨が降りそうになると傘を無料提供し、テントまで設営してくれた。

 ただ、北朝鮮の警護隊は駅正面の報道陣に驚いたようだ。金氏の到着直前、屈強な男2人が私たちの前に仁王立ちした。

 アクシデントが起きた。金氏が乗って動き出した車列が急に止まってしまったのだ。沿道からは20メートルほど。金氏の車窓は開いたままである。2分後、車は動き始めたが、警護隊はさぞかし肝を冷やしたことだろう。

 私が撮った一枚には、笑みが消え、物思いにふける独裁者の顔が写っていた。(藤本欣也)

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