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【主張】ゴーン被告保釈 安易な先例化を危惧する

弁護士事務所を出るカルロス・ゴーン被告=6日午後、東京都千代田区(古厩正樹撮影)
弁護士事務所を出るカルロス・ゴーン被告=6日午後、東京都千代田区(古厩正樹撮影)

 特別背任などの罪で起訴された日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告が保釈された。昨年11月の逮捕以来、長期の拘束が続いていた。

 被告が起訴内容を否認している事件で、公判前整理手続きで論点が明確になる前に保釈申請が認められるのは、極めて異例だ。これを安易な先例とすべきではない。

 保釈が認められる要件は、逃亡や証拠隠滅の恐れがないことである。ゴーン被告の保釈申請は3回目で認められた。

 1回目は海外での滞在を主張し、2回目は住居を国内とすることなどを条件としたが、いずれも申請は却下されていた。

 弁護人を変更した3回目は国内住居に監視カメラを設置し、パソコンや携帯電話の使用を制限するなど、より厳しい条件を提示して保釈許可決定が出た。

 だが、証拠隠滅を回避する実効性を、弁護側が課す条件で判断することに問題はないのか。

 ゴーン被告はいまも日産の取締役であり、日産や事件の関係者に強大な影響力を行使できる立場にある。口裏合わせなどの可能性は否定できない。

 海外における資金の流れの全容解明は捜査の途上にあるとされ、ゴーン被告の保釈が今後の捜査や公判の維持に影響を与えることはないか、疑問が残る。

 長期の勾留に対してはゴーン被告自身の強い反発があり、主に海外のメディアからも強い批判があった。これらが地裁の判断に影響を与えたとすれば問題だろう。

 被告が著名な経営者であることや外国籍であることが考慮されたなら、法の下の平等が守られているとは言い難い。

 一方で、否認や黙秘がただちに証拠隠滅の恐れに結びつけられ、容疑を認めることが保釈と引き換えになるような現状を、「人質司法」とする批判は以前からあった。是正の動きもあり、保釈請求を許可する割合は、この10年間で倍増しているという。

 今回の判断がそうした流れにあるなら裁判所は保釈申請を許可した理由について、きちんと説明すべきである。「外圧」に屈した判断という評価を放置しては、あしき先例となるだけだ。

 裁判と捜査に求めるのは、真実の追求である。保釈がこれを妨げることはないと判断したのか。司法の真意を聞きたい。

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