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【風を読む】中国を「途上国」扱いする矛盾 論説副委員長・長谷川秀行

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 トランプ米政権発足から2年、経済や貿易の国際秩序は大きく揺らいだ。同時にこれは、既存システムを改める好機だとつくづく思う。

 例えば世界銀行だ。6日に米国が次期総裁候補として対中強硬派のデービッド・マルパス米財務次官を推薦した。米国は最大出資国であり、4月に正式決定するとみられる。

 米国のポスト独占には一部に反発もあるようだ。何しろ、マルパス氏はトランプ大統領の側近の一人と目される。トランプ氏の意向が世銀運営に反映されないか。そんな警戒感があるとしても不思議はない。

 だが、より重要なのは、いまだ中国を途上国扱いにする世銀の組織運営自体を変革することである。

 途上国の貧困削減や成長実現が世銀の役割である。問題は、世界2位の経済大国で、世銀の主要出資国でもある中国への支援が続いていることだ。中国は巨大経済圏構想「一帯一路」の下で多くの国を資金援助している。それなのに自らは世銀融資を受け続ける構図はおかしい。

 中国やトルコなど世銀を卒業してしかるべき国々への融資は、該当する融資全体の4割だ。これを2030年までに3割に減らすというが、裏を返せば、今後10年以上も対中融資が続く可能性がある。真に支援を必要とする国に資金を回すためにも中国向けをゼロにする運営こそ必要だろう。米国と同様、出資割合2位の日本も銘記すべきことである。

 「途上国」を持ち出して大国の責務を逃れようとするのは、世界貿易機関(WTO)や温暖化対策でも頻繁にみられる中国の常套(じょうとう)手段だ。

 1月にWTO有志国が交渉入りで合意したデジタル分野のルール作りもそうだ。最大の眼目は、デジタル情報を強権的に国家管理する中国の動きを封じることにあるが、中国は案の定、「途上国」を理由に規制の網を逃れようとしている。アリババグループや百度(バイドゥ)などの世界企業を抱えるのにである。

 人口の多い中国は、1人当たりの国内総生産(GDP)でみれば先進国ではない。だが、世界への影響力を考えると、途上国はもちろん、他の新興国とも同列視できない。この矛盾を放置したまま、強国路線を許すわけにはいかないのである。

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