PR

ニュース コラム

【思ふことあり】スポーツジャーナリスト・増田明美 アスリートの健康を守る

Messenger
池江璃花子選手=インドネシア・ジャカルタ(納冨康撮影)
池江璃花子選手=インドネシア・ジャカルタ(納冨康撮影)

 日本中に衝撃が走った。池江璃花子さんの白血病のニュース。私も耳を疑い、「競泳の、あの、池江さん?」と聞き直したほど。今年1月に彼女とお会いした。スポーツ関係の表彰式があり、私は審査員だったこともあって、東京都内のホテルへ出かけたときのことだ。

 開始前に化粧室に入ると、そこに池江さんがいた。大賞を受賞し、ステージに上がる前に鏡に向かってうっすらお化粧をしているところだった。「池江さん、おめでとう」と話しかけると、「はい」とお化粧の手を止め、こちらを向いてくれた。「お化粧しながらでいいですよ。これからまた合宿ですか?」と聞くと、またこちらを向いて、「はい、来週からオーストラリアに行きます」と。

 質問するたびに手を止め、こちらをサッと向き、目を合わせて話す池江さん。18歳の競泳選手の池江さんが私のことを知るはずもなく、どこの誰だか分からない小さなオバさんにも誠実な態度をとってくれた。いい人だと感動し、競技はもちろん人間的にも素晴らしい人だと思った。

 それから約1カ月後のニュースだったので、すぐには信じられなかった。報道で紹介された「水泳なんていいから、とにかく長生きして」との祖母の言葉に涙。私も同じ気持ちでいる。

                □   □

 トップアスリートは健康の代表選手のように思われる。でもそうでない面もある。マラソン選手も貧血や疲労骨折など日常茶飯事だ。ただ、長距離選手は貧血になると走れなくなるので、頻繁に血液検査を受けている。

 例えば、リオ五輪に2人の選手を送り出した日本郵政グループ女子陸上部監督の高橋昌彦さんは「うちは大学との共同研究で、毎月1回血液を取りにきてもらい、分析しています。貧血だけでなく、疲労度や栄養状態も把握します」と教えてくれた。

 他のスポーツがどれだけ血液検査をしているか分からないが、トップアスリートであれば、生体パスポート制度が効果的だと思う。継続的に観察を行い、通常であれば生理学的にありえない数値の変化から、ドーピングを検知する方法である。

 日本代表クラスのアスリートには定期的な血液検査を義務化し、その際に、腫瘍マーカーなどの検査も行えば、病気の早期発見に役立つのではないだろうか。選手の強化に力が入るのは分かるが、国を代表している選手の健康を守ることにももっと予算をかけていいと思う。

                □   □

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ