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【耳目の門】(5)東京五輪 「南北チーム」を歓迎できるか 石井聡

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 ◆政治利用が平和損なう

 オリンピズムの根本原則には、スポーツ団体が「外部からのいかなる影響も受けずに選挙を実施する権利」を持つとある。そのくらいならよいが、驚くのはIOC委員の資格や地位に関する記述である。

 「政府、組織、その他の団体から、自身の行動や投票の自由を妨げるおそれのある命令や指示を受けてはならない」

 IOCが誤った行動をとった場合、責任ある政府なら是正を求める。だが、それは一切受け付けない。IOCの無謬(むびゅう)性を一方的に宣言しているかのようだ。

 開催地がIOCと結ぶ開催都市契約では、運営を含むすべての権利がIOC側に委ねられている。

 だからなのか。北朝鮮の参加や南北統一チームの動きについて、責任ある立場の人物が明確に異を唱えるのを聞いたことがない。

 組織委員会会長の森喜朗元首相は、日本人拉致問題に触れながら「日本人の気持ちもしっかり承知して、これからの話も進めていただければ」と語った。

 小池百合子東京都知事も拉致、核問題を挙げ「東京大会に参加するなら、これら懸念の払拭を北朝鮮がなすべきこと」と述べた。「受け入れがたい」と明言する人はなかなかいない。

 五輪憲章に戻ると、競技会場などでいかなる政治的プロパガンダも許可されないとして、五輪の政治利用は禁じられている。だが、実際に起きていることは何か。南北とIOCの三者が一体となって「融和の機運」を高めるために五輪を政治利用している。

 「平和の祭典」が朝鮮半島問題を根本的に解決する。そうした印象付けについて、その欺瞞(ぎまん)性は改めて問いただすまでもない。

 猿芝居のための場所をやすやすと提供するのは、お人よしであるだけでなく、国益を害することにさえなりかねない。

 オリンピック・ムーブメントは「平和でよりよい世界の構築」への貢献を目的としている。五輪に参加すること自体、平和への貢献を約束するのと同義であるべきなのだ。

 北朝鮮の真の非核化が実現し、拉致問題が解決に向かう。それを見極めてからフル回転で歓迎の準備を始めたとしても、非難を受けるいわれはあるまい。

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