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【赤の広場で】モスクワで雪山登山家の気持ち

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トレーに載せてハンバーガーを運ぶモスクワのマクドナルド店員=2017年1月(ロイター)
トレーに載せてハンバーガーを運ぶモスクワのマクドナルド店員=2017年1月(ロイター)

 インスタントのみそ汁、フリーズドライの雑炊、レトルトカレー…。日本から持ち込んだ食品のストックが底をつき始め、焦燥感に駆られている。楽しみにする日本の味を毎日から2日に1回、3日に1回へと切り詰めるうち、本職の方には失礼だが、吹雪の雪山に閉じ込められた登山家のような気分になってきた。

 モスクワでも、しょうゆなど一部の日本食材は輸入品で購入できる。ただ価格は日本の5倍が相場で、気軽に手を出せない。寒さがこたえて鍋料理を作ろうと思ったが、ポン酢がどこにも売っておらず、泣く泣く諦めたこともあった。個人での食品輸入は通関手続きが煩雑で現実性に乏しい。

 先日、日本に一時帰国する際には他社の特派員から、業務用サイズのお好み焼き粉を頼まれた。日本食を思う気持ちは同じ。要望の品を買ってモスクワに戻ったが、空港では「覚醒剤かと疑われたら、どう説明しよう」とどきどきした。

 ただ、電話すらない明治時代に、先進国の技術を学ぶため海外留学した先人たちの苦労を思えば今の悩みは単なるぜいたくにすぎないだろう。日本では当たり前のモノが宝石のように思える経験は海外生活の醍醐味(だいごみ)でもある。そう気持ちを切り替えつつ、次回の帰国時にはラーメンと牛丼を心ゆくまで食べようと考えている。(小野田雄一)

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