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【石平のChina Watch】「拝年外交」の隠された思惑

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昨年の春節で大型連休を目前に混雑する北京駅(西見由章撮影)
昨年の春節で大型連休を目前に混雑する北京駅(西見由章撮影)

 今月5日から中国では「春節」(旧正月)が始まっている。日本のお正月と同様、春節は普通、7連休か8連休となるが、その間、多くの中国人が昔からの慣習に従って「拝年」に出かけるのである。

 「拝年」とは春節期間中、親族中の年配の人や会社の上司などの目上の人の自宅を訪れて新年のあいさつを行うことである。宋の時代からの慣習といわれるが、今でも中国社会の中にすっかり定着して一般的に行われている。親族関係の多い人なら、春節期間中にはずっと、人の家へ拝年しに行ったり自宅で拝年の人を待ったりして拝年だけの春節を過ごしてしまう。

 もちろん今では、拝年の形はいろいろと変わってきている。目上の人に拝年するだけでなく会社の親しい同僚という対等の立場で互いに拝年する人もいれば、相手の自宅を訪れるのではなく、電話やメール、あるいは中国版ツイッターの「微博」で拝年を済ませる人も増えている。

 いずれにしても、「拝年」は今でも、中国人にとっては春節の欠かせない伝統儀礼のひとつである。

 企業や商売人も、この拝年という慣習を積極的に活用して自社のイメージアップや商品の販促に努める。

 今の中国人ならば、春節になると、テレビや新聞で多くの企業から勝手に「拝年」されるだけでなく、メールやショートメールに「拝年」と称してのネット広告が洪水のように入ってくることに頭を悩まされる。

 中国政府や地方政府も拝年の政治効果を重要視している。習近平国家主席は毎年、春節になると、必ずや中央テレビを通して全国民に「拝年」する。それにならって各地方の共産党政府の幹部も春節には一斉に「拝年パフォーマンス」を演じてみせる。もちろん一般庶民からすれば、こういう人たちに「拝年」されていても別にうれしいことは何もない。

 おそらく10年くらい前から始まったであろうか、「拝年」も今では、中国政府にとって外交行事にもなっている。たとえば昨年の春節の際、欧州委員会の委員長やオーストリアの連邦大統領、フィジーの大統領、イギリス首相などの外国首脳がさまざまな形で中国人民に「拝年」したと、昨年2月15日付の人民日報海外版が伝えている。もちろん、各国首脳の「拝年」は中国のテレビや新聞で国内的に大々的に報道される。

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