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【主張】中国の人権弾圧 これで「法治」掲げるとは

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 中国が掲げる「法治」は、共産党独裁を支える強権の追認でしかない。法治に名を借りた人権弾圧を、決して見過ごしてはならない。

 天津の地裁にあたる裁判所は、人権派弁護士の王全璋(おう・ぜんしょう)氏に懲役4年6月の判決を言い渡した。

 「国家政権転覆罪」の適用にあたり裁判所は、家族や支援者らの傍聴すら認めなかった。王氏が法廷で裁判批判を展開し、傍聴者を通じて王氏の主張が広まることを恐れた措置とみられている。

 文化大革命で「反革命犯」とされた共産党の女性幹部、張志新は銃殺前にのどを切り裂かれた。刑場で不都合な言葉を叫ばせないための措置だったという。

 裁判所の発想は、文化大革命当時のままではないか。

 支持者の傍聴を認めず、判決理由すら示さない裁判が存在すること自体が現代の奇観である。裁判そのものが不当であり、王氏の即時釈放を強く求める。

 王氏と同じく、人権派弁護士や民主活動家を狙った2015年7月の摘発では、320人以上が連座した。王氏の拘束は3年半あまりと最長に及ぶ。王氏が転向を拒み続けたためだ。

 拘束された者の多くが肉体的、精神的な拷問を受けたとの証言がある。夫との面会を求めた王氏の妻、李文足さんも治安当局の嫌がらせを受け続けた。

 権力強化を進める習近平政権には、弁護士らが進める自由民主の価値観や権利意識の広がりが目障りだったのだろう。改めて、中国共産党とは価値観を共有できないことを印象づけた。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、王氏の裁判そのものを「ひどい茶番」と断じている。

 ドイツのメルケル首相は昨年の訪中時に北京で李文足さんと面会し、写真が公表された。国際社会は中国の人権弾圧を注視しているという重要な取り組みである。

 習国家主席との米中首脳会談を予定するトランプ大統領も、通商だけではなく中国の人権問題に言及してもらいたい。

 安倍晋三首相は、先の施政方針演説で、日中関係が「完全に正常な軌道」へ戻ったと述べた。そうであるならば、習氏の年内訪日に向けて人権状況の改善を働きかけるべきだ。痛い議論を避けたままでは正常な軌道とはいえない。

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