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【風を読む】「統計」以上に論ずべきこと 論説副委員長・榊原智

2018年4月、南シナ海で行われた観艦式に出席した中国の習近平国家主席(左)(新華社=共同)
2018年4月、南シナ海で行われた観艦式に出席した中国の習近平国家主席(左)(新華社=共同)

 国際社会における、昨年最大の出来事は何だったか。

 それは、「新冷戦」ともいわれる米国と中国の対決が始まったことであろう。

 米国が中国を難ずる問題は貿易赤字にとどまらない。

 最先端技術の不当な手段による入手▽「一帯一路」戦略による途上国への債務の罠(わな)▽南シナ海、台湾、サイバー・宇宙・核戦力といった安全保障問題▽ウイグル・チベット民族弾圧やデジタル監視国家化といった人権問題-などだ。

 米中の対決は今年、激しさを増していくと思われる。米中は世界第1、2位の経済大国だ。インド太平洋地域で両国をしのぐ軍事大国は存在しない。経済規模が世界3位で米国と同盟を結び、中国の間近に位置する日本が傍観できる話ではない。

 米中対決、新冷戦への対応が、日本の国運を左右する。にもかかわらず、国会ではまともに論じられていない。

 代表質問が終わり、衆院予算委員会での基本的質疑が始まった。いずれも、政府の統計不正が最も力を入れて論じられている。

 統計不正は許し難い。失態隠蔽(いんぺい)が疑われる問題まで発覚した。国会での追及は欠かせない。

 そうであっても国会が国権の最高機関だというなら、統計不正問題に費やす以上の熱意を、米中対決、新冷戦や北朝鮮、韓国問題に振り向けるべきだ。

 代表質問で自民党の橋本聖子参院議員会長は、米中新冷戦を避けたいとして外交方針を問うた。国民民主党の玉木雄一郎代表は、米国が主導する中国通信機器大手の製品排除が「世界の経済圏を分断」した状況について、日本が米国に「付き合うだけでいいのか」と語った。立憲民主党の枝野幸男代表は「過熱する一方にある米中貿易摩擦」の影響や打開策を質(ただ)した。

 残念ながら3人とも事態の深刻さを分かっていない。3人を含め代表質問では中国が抱える深刻な問題を指摘する声はなかった。安倍晋三首相も「日中関係は完全に正常な軌道へと戻った」と語るばかりだった。

 日本は国際社会の荒波を乗り切っていけるのだろうか。

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