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【日曜に書く】ラグビーW杯の後に残すもの 論説委員・別府育郎

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ラグビーW杯の観戦券付きツアーの販売を開始し、チラシを配るJTBスタッフ=25日、横浜市
ラグビーW杯の観戦券付きツアーの販売を開始し、チラシを配るJTBスタッフ=25日、横浜市

 ◆下鴨神社

 いつもは静謐(せいひつ)な京都・下鴨神社の参道も、正月は初詣の人出でにぎわう。1月4日には恒例の「蹴鞠(けまり)初め」も行われた。日本でラグビーのワールドカップ(W杯)が開催される今年は特別の趣もあった。ラグビー神社としてのそれである。

 境内糺(ただす)の森の雑太(さわた)社前で1910年、三高(現京都大)生徒が慶応大学生に習い、ラグビーボールを蹴った。関西ラグビー発祥の地としてここに「第一蹴の地」の石碑がある。雑太社には神魂命(かんたまのみこと)が祀(まつ)られており、魂は球に通じるとして昨年、社の再興の機に「ラグビーの神様」と位置づけられた。

 W杯組み合わせ抽選会の際には各国の代表が社(やしろ)に参り、W杯優勝国に贈られる「ウェブ・エリス・カップ」も到来した。ニュージーランド学生代表による闘いの舞い、「ハカ」も奉納された。今は「必勝」などと書かれたラグビーボール型の絵馬にあふれている。

 社の再興に尽力したのは、近くに住む坂田好弘である。日本ラグビー協会副会長、関西協会会長。というより、大西鉄之祐率いる日本代表が68年、大金星をあげたオールブラックス・ジュニア戦で4トライを記録し、「空飛ぶウイング」と称賛された「世界のサカタ」である。

 ◆伝説の死闘

 日本代表は昨年11月、ラグビーの聖地ロンドン郊外のトゥイッケナム競技場でイングランドと戦い、前半を15-10で折り返して8万大観衆を黙らせた。敵将となったエディ・ジョーンズを本気にはさせたが、後半一気に25点を奪われ、9度目の対戦でも初金星はならなかった。

 だが日本には、イングランドを笛一つの差に追い込んだ歴史がある。71年9月28日、秩父宮ラグビー場。3-6で敗れた、伝説の死闘だ。

 試合前のロッカールームで監督の大西は「お前たちの命をくれ」と水を注いだ杯をたたき割り、「死んでこい」と選手を送り出した。合戦である。

 坂田自身、相手が皆、刃を持っていると思って走った。触れられれば死ぬ。だから触らせない。必死のステップが「世界のサカタ」を生んだ。

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