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【主張】INF条約破棄 中国含む軍縮につなげよ

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 トランプ米政権が、ロシアとの2国間条約である中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄の通告を発表した。通告から6カ月後に失効する。

 「核兵器なき世界」に逆行するとして批判することはたやすいが、皮相的にすぎる。

 破棄は、米国がロシアと中国の核軍拡を傍観してきた姿勢を改め、綻(ほころ)んだ核抑止態勢を再構築するための措置だ。米国および日本を含む同盟国の諸国民を守る対応といえる。

 INF条約は、1987年に米国と旧ソ連が締結した。射程500~5500キロの地上発射型の弾道・巡航ミサイルの製造・保有を禁じた。米露間の核軍縮上の主要条約の一つだったが、近年になって米国と同盟国の安全を妨げる存在に変質してしまった。

 ロシアは、米国による破棄を非難したが、そのようなことをいう資格はない。INF条約に違反して、新型の地上発射型巡航ミサイル「9M729」を開発し、2017年に実戦配備した。

 米国は14年から「9M729」への懸念を示してきたが、ロシアは言いがかりだと反発し、同ミサイル廃棄に応じていない。

 さらに、同条約に縛られない中国が中距離核戦力を増強してきた深刻な問題がある。中国のミサイルの9割が同条約によって米国が持てないものとなっている。

 米国は、中露両国に対する核抑止態勢を固めるために必要な中距離核戦力を整備できず、核バランス上、不利に陥ってしまった。

 現在の科学技術の水準の下では、甚大な被害をもたらす核ミサイルを確実に迎撃できる手立てはない。核戦争や核兵器を用いた外交上の脅迫は、核を含めた戦力で抑止するしかない。

 北大西洋条約機構(NATO)は声明で米国による破棄を支持した。日本も同様の対応をとるべきだ。中国などの中距離核の脅威にさらされている日本にとって、自国の安全保障問題なのである。

 トランプ米大統領が、中国など他の核保有国を含む新たな核軍縮条約が必要との考えを示したのは妥当だ。

 中国は、INF条約の「多国間化に反対する」と、同条約体制に加わることを忌避してきた。米国による中距離核戦力再建の動きは、中露両国に対して真剣に核軍縮のテーブルにつくよう迫る効果も持つだろう。

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