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【宮家邦彦のWorld Watch】大坂Vに思う「日本人」とは

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 それにしても大坂選手は見事に日本を代表していた。あの全豪オープンの表彰式では、自分のことよりも、まずは対戦相手の努力と健闘をたたえ、戦えて光栄だったと素直に述べる。その話し方、内容すべてが彼女の謙虚さ、正直さ、礼儀正しさ、思いやりを象徴している。これこそ日本人の良さであり、彼女は英語でしゃべりながらも、こうした日本の美徳を体現している。それは幼い時期にしかるべき教育を受けたとしか思えない。

 彼女に比べれば、従来の自信満々だが自己中心的言動に終始する世界チャンピオンたちの発言がいかにも陳腐に思えてくる。大坂選手は単なる世界ランク1位ではなく、テニス界のすがすがしい新たな風となった。筆者が言っているのではない。テニス専門誌の米国人記者が大坂選手を評した言葉である。

 昨年の全米オープンではS・ウィリアムズ選手が主審の判断を不服とし、かっとなって暴言を吐いた後にそれを「性差別に反対する女性の行為」と正当化していた。両者を比べればどちらが美しいかは一目瞭然だろう。

 最後に一つだけ気になることがある。大坂選手は二重国籍、日本の法律では22歳までにどちらかの国籍を放棄する必要がある。彼女が米国籍を選べば、日本は全米・全豪を制した偉大なテニス選手を失うのだろうか。彼女の去就は図らずも、日本とは何か、日本人とは何かという重い問題をわれわれ日本人に投げかけているのかもしれない。

                   

【プロフィル】宮家邦彦(みやけ・くにひこ) 昭和28(1953)年、神奈川県出身。栄光学園高、東京大学法学部卒。53年外務省入省。中東1課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを歴任し、平成17年退官。第1次安倍内閣では首相公邸連絡調整官を務めた。現在、立命館大学客員教授、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。

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