【ソロモンの頭巾】長辻象平 アホウドリ完全復活 長谷川博さん、「準漂流者」42年の研究完了
つがい1千組に
長谷川さんとアホウドリの出合いは76年11月17日。鳥島に接近した東京都水産試験場の船上から目視した。初上陸は翌年3月。そのときのヒナの数はわずか15羽だった。
訪島の締めくくりとなった第125回調査での上陸は2018年11月17日。42年前の出合いの日と重なった。
最終調査の今回、島内の3コロニーで1011組のペアが確認された。
鳥島集団の推定総個体数は、18年春の時点で5165羽になっており、長谷川さんが完全回復の目安として取り組んできた「5千羽・1千つがい」のゴールラインに到達したのだ。
「鳥島集団のアホウドリは、人間の手助けなしでもやっていける回復軌道に乗ったと思います」
42年間にわたる生態研究と個体数の確認調査に加え、営巣地の整備・開拓などで繁殖率を向上させ、北半球で最大の海鳥を復活に導いたのだ。
「やり切ったという気持ちと同時に、ほっとしています」と、長谷川さんは和やかな表情だ。