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【主張】春闘スタート 賃上げ機運に水を差すな

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 主要企業の労使が意見を交わす経団連の「労使フォーラム」が始まり、今年の春闘交渉が実質的にスタートした。

 政府が経済界に賃上げを求める「官製春闘」が5年にわたって続いてきたが、今年は経団連が多様な賃上げ方針を打ち出し、賃金を一律で引き上げるベースアップ(ベア)には必ずしもこだわらない考えだ。

 どのような形で賃上げに取り組むかは高度な経営判断による。企業の実情に応じ、労使協議で決めるべきだが、上場企業の手元資金は100兆円を超えて過去最高水準だ。業績が好調な企業は積極的な賃上げに取り組んでほしい。

 産業界では人手不足が深刻化している。企業が優秀な人材を確保するためにも、継続的な賃上げが不可欠だ。特に毎月の給料が目に見える形で増えるベアの実施は個人消費の活性化につながることも期待できる。

 経団連がまとめた今年の春闘方針は、ベアについて「収益が安定的に拡大している企業の選択肢」と位置づけた。そのうえで「賃上げは政府に要請されて行うものではない」と指摘し、賃上げのあり方は企業が独自に判断する姿勢を示した。企業経営の自主性を強調したものといえる。

 今年も安倍晋三首相は経済界に対して賃上げを求めたが、昨年のように具体的な数値目標を掲げることはなかった。経団連の姿勢を尊重した格好だ。ならばこそ、賃上げに応じられる企業は、独自の経営判断としてベアなどで前向きな答えを提示すべきだ。

 心配なのは米中貿易摩擦などで世界経済の不透明感が高まっていることだ。米金利の上昇で新興国経済にも陰りがみえる。経営側が景気見通しで過度に悲観し、賃上げに厳しい姿勢に転じれば、ここ数年続いた賃上げ機運に水を差すことになる。冷静に見極めてもらいたい。

 来年度からは働き方改革の一環で、大手企業に残業時間の上限規制が導入される。労働時間の短縮を含め、春闘で労使が協議すべき課題は多い。非正規社員の待遇改善も待ったなしである。建設的な交渉にしてほしい。

 賃上げは一過性でなく、継続することが消費マインドの改善につながる。その原資を生み出すために労使が協調して労働生産性の向上に努めることも欠かせない。

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