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【風を読む】「ざんねんな努力」は要らない 論説委員長・乾正人

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握手する安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領=2018年9月10日、ロシア・ウラジオストク(古厩正樹撮影)
握手する安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領=2018年9月10日、ロシア・ウラジオストク(古厩正樹撮影)

 働き方改革やら経費削減やらで最近おとなしい広告業界だが、新年早々、新事業創造(いかにも業界らしい呼称)の分野で気を吐いている広告マンから一冊の本が届いた。

 「ざんねんな努力」(川下和彦、たむらようこ著、アスコム刊)という人を食ったタイトルのハウツー本の一種だが、要は「頑張らなくても結果が出せるやり方がある」というわけだ。

 ノルマに追われ、頑張りすぎて結果が出ないサラリーマンや何度挑戦してもダイエットに失敗しているわれら肥満族には「頑張らなくてもいい」というささやきは耳に心地よい。

 著者の川下さんは、物心ついた頃から親、先生、上司に「頑張れ!頑張れ!」と何千回、何万回も言われ続けた。なんとか大学院まで出て、大手広告会社に入社したはいいが、連日の飲み会で体はブヨブヨ、財布はスカスカ、仕事もあまりうまくいかなかった。

 そんな彼があるとき、稲光に打たれたように「人生、そんなに一生懸命頑張らなくていいんだ」と気付き、ちょっとした生活習慣の工夫をすることによって、仕事がどんどんうまくいき、貯金もできて、20キロの減量にも成功したんだとか(減量は小生が確認している)。

 政治の世界でも一生懸命頑張ったから、といって結果が出せるとはかぎらない。

 ましてや74年近くもロシアによる不法占拠が続いている北方領土の返還交渉は、戦後の力ある宰相や実力者、外交官が「一生懸命頑張って」取り組んできたにもかかわらず、一歩も前に進んでいない難題中の難題だ。

 安倍晋三首相が、この問題に誰よりも「頑張って」取り組んでいるのは確かだ。だが、プーチン露大統領との首脳会談を前に、ロシア側は揺さぶりをかけ続けている。この状態で妥結を焦れば、ロシアの思うつぼだ。

 われわれも首相に北方領土問題で「一刻も早い解決目指し、頑張れ!」とは言わないようにしよう。「ざんねんな努力」をせずとも、ちょっとした余裕と工夫で、遠からずチャンスはきっとくるはずだ。

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