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【新聞に喝!】中国の邦人拘束は人権侵害、詳細な報道を 元東京大学史料編纂所教授・酒井信彦

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 昨年12月、以前から中国で拘束されていた日本人2人に有罪判決が下された。

 1人は2015年6月に拘束され、16年7月にスパイ罪で起訴された57歳の女性。中国出身で日本国籍を取得し、東京の日本語学校の幹部だった。上海第1中級人民法院は懲役6年、財産没収5万元(約82万円)の判決を下した。

 もう1人は15年6月に拘束された元航空会社社員の73歳の男性。北京の第2中級人民法院で懲役12年、財産没収20万元(約327万円)の判決を受けた。

 実はこれより先、昨年7月にも2人に有罪判決があった。

 1人は15年5月に拘束された50代男性。杭州市の中級人民法院でスパイ罪によって懲役12年の判決を受けた。もう1人はやはり同月に拘束された元脱北者の50代男性で、丹東市の中級人民法院で懲役5年の判決が言い渡された。

 中国において、スパイ容疑で拘束され、次いで起訴された日本人は、15年5月から17年5月までに合計8人に及んでいる。そのうち15年中に拘束された4人に対し、判決が下されたことになる。

 この日本人の拘束問題については、昨年10月末、安倍晋三首相が訪中の際、産経新聞は同27日の1面トップで「首相 中国の邦人拘束提起」と大きな見出しで報じた。

 それにもかかわらず、中国側は安倍首相の要請を全く無視する形で、今回の判決を下したわけである。産経の昨年12月13日の主張(社説)が指摘するように、中国の態度に対して、日本政府はもっと強力に抗議すべきである。

 そして大いに疑問なのはこの問題に対する新聞の報道ぶりである。この甚だしい人権侵害の過酷な有罪判決を、新聞は実に簡略に報道するだけであった。昨年12月の判決を見ると、産経と朝日はやや大きく2段見出しを立てたが、他の主要紙は1段見出しの完全なベタ記事であった。

 この問題で奇妙なのは、拘束された人物の実名が全く報道されないことだ。また罪の具体的内容なども不明だ。日本人の人権が深く侵害されている問題であり、人権に敏感なはずの新聞は、もっと熱心に報道に取り組むべきではないのか。

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