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【宮家邦彦のWorld Watch】中東の蟻地獄に陥る米国

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米テキサス州のメキシコ国境付近を訪れ、記者団と話すトランプ大統領=10日(ロイター)
米テキサス州のメキシコ国境付近を訪れ、記者団と話すトランプ大統領=10日(ロイター)

 先日、旧知の米国知識人とゆっくり話す機会を得た。「日本の外交安保関係者は楽天的すぎないか? トランプ政権を甘く見たら、手痛いしっぺ返しが来るぞ!」と、のたまう。「ふーん、そうかな」。筆者はこう反論した。「確かに今のワシントンは昔の米国ではない。でも、中東その他地域の米外交はめちゃくちゃではないか。それに比べれば東アジアは随分ましな方だ」。今回は筆者がこう考える理由を書こう。

 先週トランプ政権の外交安保チームが中東諸国を歴訪した。とはいえ現在国防長官は事実上不在だから、閣僚級は国務長官と国家安全保障問題担当大統領補佐官だけ。この2人がほぼ同時に中東各国を回ったのだ。国務省によればその目的は2つ、「米国は従来の約束を守り、中東から出ていくことはない。最大の脅威はイランである」ということ。ポンペオ国務長官がアラブ9カ国を、ボルトン大統領補佐官はイスラエルとトルコをそれぞれを訪問したが、ボルトン氏は炎上してしまった。

 同補佐官がイスラエルで「シリアからの米軍撤退は米国が支援するシリア・クルド勢力の安全をトルコが保証することが前提条件だ」と述べたのに対してトルコのエルドアン大統領が激怒、ボルトン発言を「重大な誤り」と罵倒し、同補佐官との会見をキャンセルしたからだ。シリアからの米軍撤退をトランプ氏が唐突にツイートしたのは昨年12月19日、当初は「30日以内」撤退だったが、大みそかには「120日程度以内」に修正された。その上でボルトン補佐官は大統領の決定を実質的に変えてしまう。こんな稚拙な米国の中東外交を見るのは初めてだ。

 なぜこんなことが起こるのか。東アジアとは異なる中東地域特有の理由がある。

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