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【世界のかたち、日本のかたち】大阪大教授・坂元一哉 「放棄していない」領土

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北海道・根室半島の納沙布岬沖に浮かぶ北方領土の歯舞群島=2016年12月
北海道・根室半島の納沙布岬沖に浮かぶ北方領土の歯舞群島=2016年12月

 連合国との講和の条件を定めたサンフランシスコ平和条約で日本は、千島と南樺太を放棄した。それから70年近くになるいまも、そのことにかかわる領土問題が日本とロシアの間には存在する。国後(くなしり)、択捉(えとろふ)、歯舞(はぼまい)群島、色丹(しこたん)の四島をめぐる、北方領土問題である。

 問題のポイントは2つある。1つは、この条約で日本が放棄していない歯舞群島、色丹をロシアが占拠し続けていること。吉田茂首相(当時)は平和条約の受諾演説において、両島が北海道に属し、千島には含まれないことをきちんと説明した。自国の領土を放棄する側がそう説明しているのだから、他国が勝手に、いやそれも放棄したはずだ、とすることはできない。

 両島の占拠は、日本の主権をあからさまに侵害する不法占拠である。ロシアがそれをやめずに、日露の領土問題が解決することはない。

 もう1つは国後、択捉の「放棄」にかかわる。日本政府は1956(昭和31)年の日ソ共同宣言の頃から、この両島も放棄していないとの立場をとっている。千島の放棄は、平和条約第2条C項に明記されているし、当初は政府も、この条項により、国後、択捉も千島の他の島々と同様、放棄したと説明していた。それがなぜ変化したのかはつまびらかでない。

 ただ、この変化が可能だとしたら、それはロシアが平和条約に調印しなかったことによると思われる。条約に調印しなかったロシアには、条約第25条の規定により、日本が放棄した領土を自国のものにする権利がないからである。日本政府が国後、択捉の2島を放棄していない、というのは要するに、「ロシアに対して」放棄していない、という意味なのだろう。

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