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【新聞に喝!】科学の成果主義、あおったのは誰か 京都大学霊長類研究所教授・正高信男

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 科学研究の成果主義を打ち出したのだ。その点についてはメディアも異論は唱えなかったと記憶している。むしろ積極的に旗振り役を買って出た。その効果はてきめんで、私の勤務する大学でも科研費申請書の書き方の講習が行われ、教授が書いた申請でも提出前に大学側のチェックを受けるようになった。

 結果、申請が採択されるためには成果が確実に見込まれるような研究計画が望ましいとなってきた。顔は見えなくとも、申請書を読む委員におもねるような研究が目立つようになったのだ。

 先の産経の記事は、研究現場の不満を報じていた。生命科学系の研究者は「一般受けしないテーマにおもしろい研究の種が多々あるが、それでは資金は取れない」と嘆く。研究費申請の際には、成果がわかりやすい研究を前面に出すのだという。

 ある意味、上を見すぎる韓国の状況に似てきたともいえる。予算獲得が目的化しかねない昨今の流れは危うい。しかしこの状況について、かつて成果主義を是とし、あおったともいえるメディアに責任はないのだろうか。

 年末に科研費予算の増額が報じられていたが、養分が乏しくなった土壌で収穫量を増やそうとしても難しい。科学は長期的な育成が必要である。メディアにも目先にとらわれない姿勢を求めたい。

                   

【プロフィル】正高信男

 まさたか・のぶお 昭和29年、大阪市生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科博士課程修了。学術博士。専門はヒトを含めた霊長類のコミュニケーションの研究。

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