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【主張】勤労統計不正 国民の信頼損なう失態だ

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 またも厚生労働省の失態が明らかになった。今度は賃金や労働時間などの動きを示す毎月勤労統計をめぐる不正である。長年にわたって不適切な方法で調査を続け、データに誤りがあったことが分かった。

 平均給与が実態よりも低く示され、雇用保険などが過少に支給されていた。政府は不足分を遡(さかのぼ)って支払うため、昨年末に決定した平成31年度予算案を組み替える方針だ。

 政府の統計は国の政策を決める際の基礎となる指標である。その正確性と信用が損なわれれば、行政に対する国民の信頼そのものが失われると厳しく受け止めねばならない。

 厚労省では昨年も裁量労働制の対象拡大をめぐり、法案審議の参考とした労働時間調査で不適切なデータを使用し、関連法案を撤回する事態となったばかりである。同じような過ちが繰り返されるのは、同省が真摯(しんし)に反省していない表れである。

 同省が不正を隠蔽(いんぺい)していた疑いも指摘されている。不正をめぐる全容の解明とその影響がどこまで及ぶのかを徹底的に調査しなければならない。それを欠いたままでは再発防止などおぼつかない。

 統計法に基づく「基幹統計」である毎月勤労統計は、雇用保険や労災保険の支給基準を決める指標となる。月例経済報告などにも使われる重要な統計だ。従業員5人以上の事業所が対象で、500人未満の場合は抽出調査し、それ以上の従業員がいる事業所はすべて調べるのが決まりだ。

 だが、東京都内では平成16年から大手の事業所も抽出調査にとどめたことで、平均給与が低く算出されていた。これに伴う雇用保険や労災保険などの追加支給は延べ約2千万人、総額で約537億円にのぼるという。予算全体への影響を抑えるため、関係予算のやりくりを優先すべきだ。

 何より見過ごせないのは、同省が昨年1月から本来の調査手法に近づけるように統計数値を補正していたことだ。こうした作業は公表しておらず、組織的な隠蔽工作と批判されても仕方あるまい。隠蔽の有無なども徹底して調べてもらいたい。

 菅義偉官房長官が政府統計の正確性などを調査するように指示したのは当然だ。政府は自らの政策基盤が大きく揺らいでいることに危機感を持つべきである。

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