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【主張】日本経済 変化を成長の糧にせよ 国民が実感する景気回復を

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 今年の日本経済は新たな記録を達成しそうだ。景気拡大の長さが今月で6年2カ月に達し、高度成長期の「いざなぎ景気」などを上回って戦後最長を更新する見通しだからだ。

 むろん現在の景気には、かつてのような熱気は見られない。前回の東京五輪の翌年から大阪万博まで続いたいざなぎ景気では、年平均の経済成長率が10%を超えていた。「3C」と呼ばれたカラーテレビや自家用車、クーラーが飛ぶように売れ、国民は暮らしが日々豊かになる確かな経済成長を実感できた。

 ≪働く人の賃金は伸びず≫

 今の成長率は年平均でわずか1・2%にとどまる。アベノミクスによる金融緩和を背景とする円安や株高に支えられた、いわば人為的な成長にすぎない。その株式市場も昨年末に世界を襲ったクリスマスショックから立ち直る間もなく、年明けの相場も大きく値を下げた波乱の幕開けとなった。

 自律的な経済成長を促すには、企業収益を高めて働く人の賃金を継続的に増やし、個人消費を活性化させる好循環の実現が欠かせない。ところが現在の企業業績は好調で雇用環境も大きく改善したものの、肝心の賃金は伸び悩んだままだ。これでは国民が景気回復を実感できない。

 バブル期の過剰な投資で経営破綻の危機にあった日産自動車をV字回復させたカルロス・ゴーン前会長は、わが国製造業の救世主としてもてはやされた。だが、長く権力を持ち続けたことでいつしか会社を私物化するようになり、特別背任の容疑で再逮捕された。カリスマ経営者の暴走を止められなかった日産の企業統治も厳しく問われている。

 実効性の高い企業統治が求められているのは産業界全体も同じだ。昨年相次ぎ発覚した製造業の検査不正は、日本のものづくりへの信頼を大きく揺るがした。納期や収益拡大を優先し、ときには検査データの改竄(かいざん)にまで手を染めていた。法令順守の意識が決定的に欠如していた。企業統治の体制は整備されてきたが、「仏作って魂入れず」では意味がない。

 そして今年の日本経済にとって大きな試練となるのが、10月の消費税増税である。少子高齢化に伴って増加が続く社会保障財源を確保するため、安倍晋三政権で2度目となる増税に踏み切る。

 前回の増税時には、駆け込み需要とその反動減で個人消費が大きく落ち込んだ。政府はその反省を踏まえ、今回は中小店で買い物した場合、クレジットカードなどでキャッシュレス決済すれば、ポイント還元することを計画している。これは増税対策に加え、他の先進国に比べて遅れているキャッシュレス決済の普及をにらんだ取り組みでもある。

 ≪日本が開発した「QR」≫

 消費者にとってキャッシュレス決済には、手軽な精算や買い物した商品を後で点検しやすいなどの利点がある。小売店は釣り銭の準備や毎日の売上金を収納する手間が省ける。今では多くの事業者が新たな規格を提案し、利用者の囲い込みに躍起となっている。賢い選択をしたい。

 そこで世界的に注目されているのがQRコードだ。四角い幾何学的な模様をスマートフォンで読み取れば、その場で決済が完了する仕組みだ。昨年12月にはソフトバンクとヤフーが出資する「ペイペイ」が100億円の還元キャンペーンを展開し、家電量販店に長い行列ができた。こうした決済で広く採用されているQRコードを開発したのは、トヨタグループのデンソーである。

 数千点の自動車部品を管理して効率よく生産する「カンバン方式」は有名だが、同社はそれを電子化するため、バーコードの10倍の情報量を持つ新たなシステムとしてQRコードを開発した。そして同社はこれを無料で開放し、世界で爆発的に普及した。中国では屋台や賽銭(さいせん)などでも使われており、日本企業の技術力の高さを裏付けた。

 今年の世界経済は、米中貿易摩擦の激化などの影響もあって見通しは明るくない。だが、そうした時代の変化に向き合い、適応することが今の企業や個人に求められる姿勢だろう。それは大きな変革期を迎えた日本が常に得意としてきたことでもある。新たな技術を積極的に取り入れ、次の成長の糧にしたい。

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