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【主張】国民の防災 複合と激甚化に備えよう 命を守る避難行動の徹底を

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 年の初めに、災害のない穏やかな一年になりますようにと、祈念した人は多いだろう。

 3日には熊本で最大震度6弱の地震があった。

 30年以内の発生確率が70~80%とされる南海トラフ地震に向けて、内陸直下型を含めて日本列島の地震活動度は高まっていくとされる。気象災害の要因である地球温暖化に、すぐにブレーキはかからない。

 自然災害に対する備えと心構えを新たにしたい。

 昨年、日本列島は甚大な被害を伴う自然災害が相次いだ。

 ≪常識を超える凶暴化≫

 広島、岡山、愛媛を中心に西日本の広域を襲った7月の記録的豪雨では、同時多発的に土砂災害や河川氾濫が発生し、犠牲者は200人を超えた。

 台風の上陸も続いた。9月上旬に近畿圏を直撃した21号では、暴風雨と高潮により大規模停電や関西国際空港の浸水など大きな被害が発生した。7月下旬の台風12号は、通常とは逆の東から西に列島を横断した。

 地震活動では、6月に最大震度6弱の大阪北部地震、9月には最大震度7の北海道胆振東部地震が発生した。胆振東部地震では大規模な土砂災害で多くの人命が失われ、北海道全域が大停電(ブラックアウト)に陥った。

 これらに加えて、昨夏は「災害級」の猛暑となり、1年前の冬は記録的な寒波と豪雪が日本列島を襲った。

 地震、豪雨、台風、猛暑などの災害が立て続けに、あるいは重なって発生する「複合災害」の恐れが、極めて高い状況にあると認識しなければならない。

 さらに深刻なのは、気象災害に関する従来の概念や常識が通用しなくなったことである。

 西日本豪雨では、1時間雨量が100ミリにも達する激しい雨が各地で、長時間続いた。積乱雲がもたらす激しい雨は1時間ほどで収まるという常識は、捨てなければならない。

 列島沿いに停滞する前線に南から暖かく湿った空気が流れ込むという典型的な梅雨の雨が、南の海域の膨大な熱量で増幅され、甚大な広域災害になったのだ。

 「ドラえもん」のキャラクターにたとえると、ジャイアンの暴れ方がエスカレートしたというよりは、のび太が凶暴化する恐ろしさこそが、近年の、そしてこれからの地球温暖化と気象災害の本質なのかもしれない。

 ドラえもんのたとえが的を射ているかどうかはわからないが、当たり前だった梅雨の雨、夏の暑さにまで命を脅かされた現実は重く受け止めなければならない。

 従来の常識が通用しない「複合災害の時代」を生き抜くために、命を守るための大原則を再確認しよう。

 ≪「学びと実践」の決意を≫

 地震の揺れに対しては、建物の耐震化や家具の固定を徹底すること。津波、河川氾濫、土砂崩れなどの水の猛威に対しては、安全な場所に避難することである。

 西日本豪雨で被害が大きかった広島県では、200万人を超える住民に避難指示や勧告を出したが、実際に避難したのは0・3%にとどまった。

 巨大津波などにより1万8千人を超える死者・行方不明者を出した東日本大震災以降、政府の中央防災会議や気象庁は災害情報の改善に努めてきた。肝心なのは住民一人一人の意識と行動である。

 災害時には「自分には被害は及ばないだろう」という正常性のバイアスが働く。だからこそ、平常時に命を守るための避難意識を強く持ち、どの段階でどこへ避難するかを家族、地域住民が共有することが重要なのだ。

 昨年末、インドネシアでは火山活動に起因する津波で多数の犠牲者を出した。日本でも1万5千人が犠牲になった「島原大変肥後迷惑」(1792年)など同様の災害事例がある。

 自分の住む地域で、過去にどんな災害が起こったかを学ぶことは防災の第一歩である。東日本大震災でも、貞観地震(869年)に関する知識があれば避難行動に結びついたかもしれない。

 起こり得るすべての災害に完璧に備えることは不可能でも、命は守りきらなければならない。

 そのために何ができるか。一人一人が考え、実践することを新年の決意としたい。

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