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【主張】TPP発効 飛躍につなぐ好機とせよ 保護主義封じる自由貿易圏に

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 新たな成長への扉を開く自由貿易圏の誕生である。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の発効がもたらす恩恵に期待したい。

 人口減少による国内市場の縮小に直面する日本にとって、アジアなどとのつながりを深め、その活力を取り込むことのできるTPPが始動する意義は大きい。

 企業はこれを存分に活用し、貿易や投資のビジネス機会を広げてほしい。消費者にとっても、安価で安全な海外産品が広まれば、暮らしを豊かにする一助となる。

 世界に台頭する保護主義とは対極をなす枠組みである。日本はTPPを通商の基本に据えて、開かれた自由貿易圏づくりをさらに進めていかなければならない。

 《中小企業の恩恵大きい》

 米国の離脱で規模こそ縮小したものの、11カ国の国内総生産(GDP)は世界の13%を占める巨大さである。高水準の関税撤廃や先進的な共通ルールは、自由貿易の世界標準たり得る内容だ。

 関税の撤廃や削減は輸出産業を後押ししよう。ただ、日本からの輸出は、企業の競争力や為替動向にも左右される。むしろ注目したいのは、日本企業が海外に出やすくなることである。

 11カ国の中には不透明な貿易慣行や過剰な国内産業保護が残る途上国もある。これらが日本企業の海外展開の障害となっていた。

 TPPはルール分野で、投資や知的財産の保護、通関手続きなどを幅広く規定し、国有企業の優遇策にも制限を加えた。

 その効果は、海外で柔軟に対応してきた大企業よりも、海外進出に踏み切れなかった中堅・中小企業や地方企業の方が大きいのではないか。これを飛躍につなげる構想力と行動が問われよう。

 輸入品流入への警戒は、特に農畜産業界において強い。国内農業が弱体化しないよう、適切な対策を講じるべきは当然である。

 国は巨額の対策費を予算に計上してきた。ただし、お金をつぎ込めば済むと考えるのは誤りだ。かつてコメを部分開放した際、巨費を投じたのに農業衰退に歯止めがかからなかった教訓もある。

 大切なのは、品質やブランド力に磨きをかけるとともに、IT活用などで生産性を高めて競争力をつけられるかである。TPP各国に農産品を輸出する攻めの経営も有益だ。担い手不足を解消するためにも農業の魅力を高めたい。

 TPPには、タイやインドネシア、韓国、台湾、コロンビア、英国などが関心を寄せている。これらが合流する、加盟国の拡大論議が来年以降の焦点となる。

 ここで思い起こすべきは、経済や軍事の覇権を追求する中国である。中国は国家による経済への不透明な介入など、市場経済とは相いれない経済運営を改めようとしない。TPPには元来、これと異なる経済秩序を築き、中国の膨張を牽制(けんせい)する戦略的意義がある。

 《整合性ある対米交渉を》

 米国がTPP離脱を決めた際には、中国になびこうとする国も多かった。それが今では世界の目が再びTPPに向かっている。この機を逃さず仲間を増やしたい。

 米中摩擦の激化により、日本企業は米国や中国で展開する生産網の再構築が迫られている。TPP発効や加盟国拡大は、進出先の選択肢を広げることにも資する。

 TPPの意義を高める上で、米国との通商協議も重要である。トランプ政権がTPPに復帰するとみるのは現実的ではない。だからといって「ごね得」を許す道理もない。TPPを上回る譲歩はしないという原則を貫かなければ、日本に対する加盟国の信頼は失墜すると覚悟すべきだ。

 農業などの物品貿易に限った協議を優先させたい日本に対し、米国はサービスなども含む包括的な協定を目指しており、この違いを懸念する声がある。

 ただ、米国が列挙する22項目の交渉分野の多くはTPPとも重なる。保護主義的な管理貿易の手法を排すなど、TPPと整合的な中身にできるなら、包括的かどうかに大きな意味はない。重要なのは将来的に米国がTPPに復帰する余地を残すことである。

 来年2月には欧州連合(EU)との経済連携協定も発効する。自由貿易の枠組みが成果を重ねることは保護主義の広がりを封じる最善の手立てとなる。TPPを主導した日本は、今後も旗振りの役割が期待されていることを認識しておかなければならない。

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