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【主張】ゆうちょ限度額 倍増の影響に懸念拭えぬ

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 政府の郵政民営化委員会がゆうちょ銀行の預入限度額について、1300万円から2600万円に倍増するよう求める意見書をまとめた。これを受けて、政府は早ければ来年4月にも実施できるよう政令を改正する。

 退職金などのまとまったお金を預けたい利用者の利便性を高めるためだという。ただ、ゆうちょ銀の民営化はいまだ道半ばである。だからこそ、国の信用を後ろ盾とする貯金に制限をかけてきたはずだ。

 完全民営化の道筋がまったく見えないのに、業務制限だけは一気に緩和する。これでは民間との公正な競争環境をゆがめかねず、懸念を抱かざるを得ない。

 民営化委の提言を受け、全国銀行協会などの業界団体は連名で遺憾の意を表明した。民間預金がゆうちょ銀に流れることを警戒しているためである。

 民営化委は今回、当初検討された限度額撤廃を見送るなど、業界側にも一定の配慮を示した。それでもいきなりの倍増である。平成28年にも1千万円から1300万円に引き上げられたが、これを大きく上回る提言に対して業界が反発するのも理解できる。

 ゆうちょ銀側が見直しで期待するのは限度額を超えた利用者への通知などの事務負担の軽減にあるという。上場した以上、収益性を高めたいのは分かる。それには地域金融機関との連携強化など、ほかにやるべきことがあろう。こうした流れに逆行しかねない。

 貯金が拡大すれば、その分、運用リスクも高まる。ただでさえ超低金利時代である。ゆうちょ銀は利回りの高い外国債券などの運用を増やしているが、リスク管理への懸念は拭えない。

 ゆうちょ銀株の9割は、政府が過半の株式を持つ日本郵政が保有する。民営化委は、将来的にさらなる見直しを行う際には、ゆうちょ株を3分の2未満になるまで売却するよう条件を付けた。ただ、本来は全株売却が郵政民営化法で規定された目標のはずである。これはどうなったのか。

 限度額の見直しは自民党が求めてきたことでもある。来年の統一地方選や参院選をにらんだ思惑が先行する面はなかったか。

 郵政民営化は政治に翻弄される歴史を繰り返してきた。その宿痾(しゅくあ)を断ち切れるかどうかが、民営化の成否を握っていることを忘れてはならない。

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