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【日曜に書く】論説委員・井伊重之 トップを解任する企業統治

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日産自動車本社で会見を終え、退出する西川広人社長=17日、横浜市西区(鴨川一也撮影)
日産自動車本社で会見を終え、退出する西川広人社長=17日、横浜市西区(鴨川一也撮影)

 日産自動車のカルロス・ゴーン前会長の逮捕を契機として、日本株式会社の企業統治(コーポレートガバナンス)が厳しく問われている。企業統治では経営の執行と監督を分離し、取締役会はトップの暴走を防ぐ監視機関としての役割が求められるからだ。

 だが、日産の取締役会は報酬を自ら決定するゴーン前会長に対し、その内容をチェックする役割は果たしていなかった。瀕死(ひんし)の会社を立て直したカリスマ経営者とはいえ、「お手盛り報酬」を許してきた同社の企業統治が重大な欠陥を抱えていたのは明らかである。

 ◆統治に欠陥あった日産

 東京証券取引所は今年6月、上場企業を対象に導入した企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)を初めて改定した。そこでは取締役会に対し、役員報酬の決定手順の透明化に加え、トップを含めた役員の選任・解任手順の策定を求めた。まるで今回の日産をめぐる騒動を予見していたかのようだ。

 これまでも役員報酬の総額や年1億円超の報酬を得た役員名は開示が義務化されてきた。改定ガバナンス・コードでは、そうした報酬の決定手順を透明化し、株主に代わって社外取締役が報酬額を客観的に評価する仕組みが望ましいと判断したからだ。すでに東証上場企業の4分の1が任意のものを含めて報酬委員会を設置済みだが、日産にはそうした委員会は存在しなかった。

 最近では業績に連動した役員報酬を採用する企業も増えている。企業がどれだけ利益を稼いだかなどを基準とし、その成果に応じて報酬を決定する取り組みだ。金融庁は今後、そうした判断基準を開示するように求める方針だ。役員報酬の透明化は、トップの高額報酬に対する批判が根強い米国企業を含めて世界的な流れでもある。

 ◆役員の選解任を透明化

 しかし、改定コードのもう1つの柱である役員陣の選任・解任の手続きをめぐっては各社とも頭を悩ませている。経営のかじ取りを担うトップにだれを選ぶかは、その企業の将来を左右する大きな経営判断である。日本では現在も社長が後継者を実質的に指名する場合が多いが、企業統治に詳しい冨山和彦・経営共創基盤代表取締役は「トップの選任手続きはガバナンスの最重要な要素だ」と指摘する。

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