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【パリの窓】逃げろ、マダム!

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シャンゼリゼ大通り脇で、警官隊と向き合う黄色いベスト運動のデモ参加者=8日、パリ(共同)
シャンゼリゼ大通り脇で、警官隊と向き合う黄色いベスト運動のデモ参加者=8日、パリ(共同)

 窓から黒煙が見えた。驚いて外に出ると、車が燃えていた。「黄色いベスト」のデモ隊だ。数十人が次々放火し、走り去る。ぶつかっては大変と、並木のマロニエにしがみつくと、「マダム、どきなさい!」と怒鳴られた。目を上げると、警官隊がズラリ。若者が路面に押しつけられ、尋問にうめき声を上げていた。

 凱旋(がいせん)門を背景とした「燃えるパリ」。警官隊はデモ隊に催涙弾を発射した。白煙の映像は派手だが、実はあまり刺激はない。たき火のそばにいる感じ。数年前、中東のデモ取材で催涙弾を浴びたときはチョークをのんだような衝撃を受けたが、まるで違う。パリの商店が毎週襲撃されても、警察が有刺鉄線でデモ隊を防ぐことはなかった。けがをさせないよう気を使っていたのは明らかだ。

 シャンゼリゼ通りにデモ隊がバリケードを張るのを見て、19世紀仏文学の傑作「レ・ミゼラブル」を思い出した。市民が王政打倒を掲げて立て籠もる場面は、物語のクライマックスだ。市民革命は国の原点。だから、デモへの共感も強い。

 デモ隊がみんな三色旗を振るのも「正義はわれにあり」という意思表示。日本で、日の丸を振る反政府デモなど見たことはないが、フランスは「闘う市民」が喝采を浴びる国だ。それが略奪をのさばらせたとしても、である。(三井美奈)

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